バルージョ麗子 Vol.2

バルージョ麗子:おひとりさまにキツイ一言「君って1人で生きていけるタイプだよね」

女の幸せはキャリアか?それとも結婚か?

婚活に燃える同僚、キャリアに突っ走る先輩の間でどちらも選びきれない32歳の麗子。彼氏ナシ。

そんな彼女を癒すのは、その麗しき名前に似合わない?賑やかなバルでの心地よいひと時。「お酒を飲んでいる時間がいちばん楽しい!」と、現実逃避のごとく、今宵も一人、素敵なバルを探して東京を彷徨う。

先週の土曜、行きつけのお店で飲み過ぎて馴染の客と朝を迎えてしまった彼女が、反省をいかすこともなく今宵また、代官山のバルで1人飲んでいると……。


金曜の夜、声をかけてきたのは東京にしか生息していないタイプの男


「どうぞ」

そう言いながら、男の顔を見上げた麗子は思わずドキッとした。男は、女の麗子から見ても美しいと思うほど、整った顔立ちをしていた。

彫刻のような鼻梁、きりっとした眉、Ray-Banの奥の魅惑的な目は、イケメンというより「美青年」という言葉がぴったりだ。おまけにこの蒸し暑い夜に湿気など微塵も感じていないような爽やかさ。

落ち着いた様子から同年代にも思えるが、肌のハリや服装からすると20代かもしれない。年齢不詳というかユニセックスというか。まちがいなく、東京以外の地には生息していないタイプの人間だ。


(それにしても、なんて美しいんだろう)

男がグラスを口に運ぶたび、長いまつ毛が陰影を作る。黙っていても様になる横顔が、うつむくことで一層ドラマチックになる。顔だけではない。グラスを持つ指先の動きは日舞のような色香を漂わせている。

麗子は仕事柄、外国人男性モデルによく会う。隣の男はどこかの血が混ざっているのかもしれない。あからさまな外国人顔ではないが、輪郭や彫の深さがそう思わせる。

美青年キャラは決して麗子の好みではなかったが、こう目立つと気になって仕方がない。美しい人は性別を問わず、人を惹きつける魅力があるものだ。

麗子は何食わぬ顔で食事を続けていたが、内心この美しすぎる男の正体を少しでも知りたいと、男と店員との会話に耳を傾けていた。

ふと、男が視線をあげた瞬間、麗子と目が合った。

「どこかでお会いしましたっけ?」

男はハイスツールを反転させ、麗子をじっと見つめた。

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