2016.07.30
巨大迷路となっている建造物自体が作品という、今回の挑戦的な展覧会は、強力なスポンサーの存在なくしては成り立たなかった。DMM.comの松栄立也社長は「DMMは、新しいことにどんどんチャレンジさせる風土がある。今回も、ある社員の夢が叶ったものだ」と話す。
つまり、DMMは単なるスポンサーにとどまらず、「共創」していくパートナーだったのだ。「チームラボのことを理解してくれている、ある役員の方と二人三脚で、コアのアイデアを出し合い拡大していった。我々だけでここまで創造できたかというと、そうではない。日常で目にするメディアがリアリティに溢れている現代では、ユーザーに『特別なリアル』を体験させることが、企業のブランドにつながっていくはず」(猪子氏)。
この展覧会で懸念があるとすれば、会場内に多くの人が長時間留まりかねない、という点だろう。作品から出ようとする途中で、ふと後ろを振り返ると、自分が歩いてきた軌跡の水面上に、連綿と花が咲き乱れている。作品の一部であることから離脱することが惜しくなってしまい、どうしても引き戻されてしまうのだ。
事前の説明では、30~40分で全体を見ることができると伝えられていたが、ふと気づいてみると、入場してから2時間以上経っていた。このペースで来場者が動けば、入場制限が必須になるかもしれない。
他者がいるから、うつくしい
通常の美術館では、混んでいれば憂鬱だし、他人は少なければ少ないほど自分にとっては快適に鑑賞できるはずだが、ここでは違う。プレス内覧会だったこともあり、「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity」に入った時、自分以外ほとんど人がいなかった。
鯉は花になかなか変わらず、一面に黒い世界が広がる。そこで湧き出てきたのは、「作品の中に、もっと多くの人たちに入ってきて欲しい」という気持ちだった。数分後、あとから来た海外メディアの方が入ってきて、ようやく水面上は色とりどりの花で埋め尽くされた。その光景を見た時の感情は、テキストでの表現が難しいものだ。
この展覧会について、テキストと写真で説明をしてきたが、実は、ほとんど何も伝えることはできていない。自分で足を運び、全身で作品の中に入り込まなければ、実際のところは何も分からないだろう。
自分自身、そして他者の存在が影響し、その瞬間だけしか目にすることができず、同じものがこの世に二度と現れないアート。デジタルテクノロジーを通した「他人の存在がポジティブになる」体験は、普段私たちが見ている世界を、少しだけ変えてくれるはずだ。
著者
関田 真也 :東洋経済オンライン編集部 記者
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