エスケープ・ハワイ Vol.1

エスケープ・ハワイ:東京で疲れ果て辿り着く楽園。30歳、3ヶ月の現実逃避の先にあるもの

人は、疲れると青い空と海が恋しくなる 。

毎日が辛辣な戦いの東京生活に困憊すると 、海や山に癒され、そして自分のことを誰も知らない場所に身を置きたくなる時がある。

そんな逃げ場として最も人気なのが、常夏の楽園・ハワイ。

ここ数年で東京からハワイへ逃げ出す30歳前後の女性が急増している。それは自分を今一度見つめ直す時間なのか、ただ単に逃げているだけなのか。

人生に迷い、東京に疲れたアラサー女子はハワイで何を感じ、どう変わっていくのかを追いかけていく。


<今週のエスケープ・ハワイ女子>

名前:優美
年齢:31歳
職業:ネイリスト
出身:埼玉県
ハワイ滞在期間:3ヶ月
ハワイでお気に入りの場所:カピオラニ公園

疲れ果てた東京生活


モアナ・サーフライダー1階にある『veranda at the beach』にやって来た優美はスラっとしていて、紺色のカジュアルなマキシワンピースがよく似合っていた。 こんがりと良い色に焼けた肌以外、“東京にいる綺麗なお姉さん”という名称がよく似合う。

「新卒から生命保険会社で働いていました。でも、自分で何かしたいという思いが強くて。働きながらネイルの資格を取得し、5年前にネイリストになりました。」

3年ほど大手のネイルサロンで働いた後、独立。去年青山で小さなサロンを開いた。一見全てが順風満帆に見えるが、何故ハワイに来たのだろうか?

「何をしても満たされないというか、常に焦っている自分がいて。30歳までは若さと気合で乗り切って来たけれど、ある日ふと、結婚もできずにこれでいいのかなと立ち止まってしまって... 」

周りは続々と結婚した。裕福な旦那と結婚して豪邸に住みながら、悠々自適に自宅でネイルサロンを“趣味”程度で開いている人も多くいる。

一方の優美は7年付き合っても結婚しようと言わない、元の会社の同期だった優也に嫌気がさしてハワイに来る前に別れを告げたと言う。

人を羨んでも仕方ないが、家賃のために働いている毎日が急に虚しくなった。今までがむしゃらに走ってきて気がつかなかったが、30歳になり、孤独な東京で頑張ることに疲れてしまった。

ここまで話してくれた優美の目にはうっすらと涙で滲んでいた。

東京で、一度充電がプツリと切れてしまうと再び充電を満たすのにはかなりの時間がかかる。残り5%で充電すると電源は入ったままだが、0%だと暫く電源が入るのを待たなければいけない携帯電話のように。

そして優美は気がつけばお店を休業し、2ヶ月前に逃げるようにハワイに来たそうだ。

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