京都クエスト Vol.5

京都クエスト:世界のセレブリティたちがお忍びで訪れる3ヶ月待ちの茶筒とは

結婚を意識していた彼女からの突然振られてしまった。その理由は、「京都の若旦那にプロポーズされたからだ」という。

勝ち組のはずだった35歳・晃二を襲った突然の悲劇。最近では、仲間たちも何故か京都の引力に惹かれている。

え、なんで京都? 若旦那って何者?

その謎を解くべく降り立った京都。親友はからいで芸妓さんと2人で出かけることになったが、アウェイの地のデートはいかに。


祇園白川は京都屈指のデート道


祇園の芸妓、菊乃にエスコートされながら鑑賞した芸妓さんのオールスター舞台「鴨川をどり」。その後も、先斗町のこじんまりしたカウンター席「志る幸」でランチと接近戦は続く。

これが東京ならば、この後にどんな展開だってできる。ルーフトップバーに移動して昼からシャンパーニュを空けるもよし、家でコーヒー淹れるよと言えば、たいての女性は偵察がてらにやってくる。

ところが、ここは京都で横にいるのは正真正銘の芸妓さん。オフの普段着とはいえ、しなやかな色気と雅さは東京の田舎者には刺激が強すぎる。

これまでの話で、芸妓さんの日常が少しは見えてきた。お茶屋さんに出るのはあくまで生活のごく一部で、一年の殆どを舞や三味線、お茶などといったお稽古の時間に費やしているという。きっと、俺の持ち時間は残りわずかだろう。好印象を残すための手札は、切れてあと1枚か2枚。さて、まだ時間があるのならばどこに行こう?



一方で、菊乃は彼にこんな印象を持っていたようだ。

お稽古は午前中に済んでいるので、夜のお座敷まではもう少し余裕がある。最初は気乗りしなかった晃司との時間は、思いのほかゆったりとしていて心地いい。さりげなく身に着けている時計は「ヴァシュロン・コンスタンタン」のアンディーク、戦前の18金らしく輝き方に品がある。全く厭味なく履きこなしている靴も明らかに革の質がいい、さっき聞いたらパリでオーダーしたベルルッティだそうだ。

きっと、東京でもモテるんだと思う。一見、強引そうだけど、押し付け感はゼロだし、気遣いも細やかだ。育ちの良さや自信家ゆえの余裕も、本人が意識していなければ可愛らしく見えるから不思議。折角だから、彼が好きそうな京都、見せてあげたいな。




祇園白川は、京都のど真ん中ながら趣を感じることができる日本屈指の散歩コース。ふと気づいたのは、俺にとってはディズニーランドさながらの異次元スポットだけど、菊乃にとっては職場であり生活エリアだということ。

ちょっと移動しようかなと思った時に浮かんだのが、今朝ランニングの最中に見つけたカフェだ。艶やかな筒が並んでたあのカフェ、そうだあそこに行ってみよう。

「菊乃さん、和の食事の後って意外とコーヒーとか紅茶欲しくならない? 多分、五条大橋のあたりなんだけど、金属の筒が並んでた雰囲気いいカフェがあって気になってるんだ」半ば、タイムアップを覚悟しながらの誘いだったが、思わぬ反応にこっちが驚くことに。

「もしかして、それって『kaikado café』じゃありません!? なんで、晃二さん知ってはるんですか。」

菊乃の声のトーンが自然とあがる。こないだオープンしたばかりの話題のカフェで、ちょうど彼女も行きたいと思っていたらしい。なんだか、いい風が吹いている。

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