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  • エレベーターで生まれた恋。気になるイケメンとの出会いは運命の赤い糸?

    この物語の主人公は奈緒子。大手IT企業のOLで、29歳・独身。おとめ座。
    華奢で可愛らしい容姿とは裏腹に、内面は少し男っぽくてさっぱりした性格。仕事が楽しすぎて、この2年ほどは恋人がいなかったのですが、最近ちょっと気になる出来事があるようです……!


    ( 今日も会えるかな……? )

    朝8時15分。そんな想いを胸に秘め、いつもと同じように品川駅で東京方面行きの山手線に乗る。先頭から3両目に乗るのが私の定位置だ。
    ラッシュの人ゴミにもまれながら、頭上に「大ヒット中!」と大きく書かれた新刊広告を眺めてみるけれど、内容はちっとも頭に入ってこなかった。

    ……というのも、私の頭の中は勤務先のエレベーターで最近やたらと会う、名も知らぬ男性のことでいっぱいだったから。

    私が彼の存在に気がついたのは、ちょうど1週間前の金曜日のことだった。

    多くのオフィスビル同様、私の勤務先のビルも、朝はエレベーターを待つ人たちで長蛇の列ができる。
    エレベーターが大きな扉を開くたび、おびただしい数の人が吸い込まれていく。

    その日もいつものように、待ち人の濁流に飲み込まれながら、エレベーターに乗り込んだ。


    エレベーターの中は誰もが無口だ。だから私も、大抵の場合は何も考えず、ひたすら自分のフロアに到着するのを待つだけなのだけど、その日はなにか背後から視線を感じる気がした。
    そっと振り向くと、そこにはどこか見覚えのある男性が……。瞬時に目が合い、思わず会釈を交わし、またすぐ前を向いた。

    ( 誰だっけ? )

    彼の目は明らかに“私”を認識しているようだった。どことなく親しみを感じる目線からすると、どこかで会ったことがあるのかもしれない。
    でも、どんなに記憶をたどってみても、私の中に彼に関する記憶は見当たらなかった。


    身長180cmはあろうか。すらりとした長身で、“爽やか”という言葉が似合う、いわゆるイケメンだった。私が、彼との出会いについてあれこれ思索しているうちに、エレベーターは私の会社がある15階に到着した。

    ポーン……という音が鳴り扉が開くと、私を含む数人がエレベーターの外に出た。

    エレベーターを降りる際、もう一度振り返りたいという衝動に駆られたけれど、ちょっとわざとらしい気がして、意識的に前を向いて降りた。
    私が降りると、背後でエレベーターの扉が締まり、上層階へと向かっていった。

    なんだか不思議な感覚だった。でも、自分のデスクに着く頃にはその感覚はほぼなくなっていた。

    一日がはじまる。朝感じた奇妙な違和感は、本日のタスクに埋もれ、そして消えていった。


    週明けの月曜日も、エレベーターには彼がいた。そして、私が乗り込もうとすると、金曜日と同じように親しみを込めた目線で会釈をしてきた。

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