「シルバーファースト」
昨年最も話題になったヨットはオーストラリアのビルダー、シルバーヨットの77m「シルバーファースト」だろう。このヨットが12月はじめにマイアミに寄港していると聞き、さっそく見に行った。
マイアミにあるマリーナに車を止めると、ダークシルバーのペイントが美しいヨットがドックに係留しているのが見える。このヨットはモナコヨットショーで2015年度の最優秀賞を受賞していたにも関わらず、お目にかかることができなかったことを思い出した。
この「シルバーファースト」号は世界最大の半排水型アルミ製ヨットで、「スメラルダ」号、「ドラゴンフライ」号、「ラブダン」号に次ぐ、シルバーヨットによる4隻目だ。デザインは、トップスピードで効率的に航行できるよう、全長全幅の比率に焦点を置いている。そしてこのヨットはその名の通り、全体的にシルバーのカラースキームがうかがえる。
「シルバーファースト」はこれまでシルバーヨットが作り上げてきた中でも技術的に最先端をいくヨットで、そのハイテク技術は航空機ビジネスでみられるものとさほど変わらない。18ノットで4,500マイル、14ノットではなんと6,200マイルという長航続距離を誇る。
そして、スローで退屈な長距離海洋横断は既に過去のもの。このヨットのクルージングスピードは25ノット、トップスピードはなんと29ノット近くなのだ!
これだけのスピードが可能なのは、2基のMTUエンジンが2,720kwずつのパワーを供給してくれるおかげ。さらに4基のクァンタム・ゼロ・スピード・スタビライザーにより、目的地まで問題なく航行することができる。
サンデッキ上から前方デッキを見ると、このヨットの美しいストリームラインと細いビームがきわだって見える。サイズ的にはコンパクトだが、ゲストがこのサンデッキ上で多目的に楽しめるようにレイアウトされている。
アウトドアラウンジにカジュアルなダイニングエリア、セントラルバーエリアにふかふかのサンパッドがゴージャスだ。しかもこれらは「シルバーファースト」の数あるアメニティの中の一つに過ぎない。このサンデッキにはマストからスクリーンが出てくるアウトドアシネマもあり、ゲストは夜空のもと映画を楽しむこともできるのだ。
1デッキ下に行くと、その後方はオーナー専用のミーティングテーブルにサンベッドがある。ここにはデッキ前方のオーナーのスイートからアッパーサロンを抜けてアクセスできる。
船の長さとスリークなビームを有効に使ったメインデッキ最後方にはバー付きのグランドラウンジと20人が座れるラグジュアリーなダイニングエリアがあり、二つのエリアの間にはサービスステーションがある。