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  • 実はモテてない男:自信家ほど当てはまる!自分では一生気づけない、女性に絶対モテない理由

    ところが、僕のささやきが彼女の耳に届いたと思うのとほぼ同じタイミングで、美也子の態度が一変した。急によそよそしくなり、僕と距離をおくように上体を少しひねりながら

    「ごめん、私、もう帰らなきゃ」

    と言い放った。

    「え……、今日は忙しいの?じゃ、今週中は?」

    「ううん。ごめん、ちょっと今週は……、当面はちょっと忙しいから……」

    「そうなんだ。でもじゃぁ、今度コンサートのチケットを入手したら連絡するよ」

    「ああ、うん……そうだね。でも行けるかどうか分からないから、あまり気にしないで……」

    なんなんだ……? これまであんなに盛り上がっていたのに。なぜここにきて急に態度が変わったのか?……僕には理解できなかった。
    誰かの目でも気にしているのかと周囲を見渡してみても、特にこっちを見ている人影は確認できなかった。

    「じゃ、私急ぐから……。ありがとう。またね。おやすみ!」

    そう言って、美也子は足早に立ち去った。茫然とする僕一人を残して。


    “見えない落とし穴”にハマった男の慟哭

    その後のことは、よく覚えていない。同じように女を逃した賢也と2人で飲みに行ったところまではかろうじて記憶があるが、どうやって家にまで辿りついたのか、定かではない。

    ひとつだけ確かなのは、自分が途中まで掴みかけた獲物を逃がしたということ。それもこの上なく美しい獲物を。そして、その逃がした理由を自分の中で必死に探してみても、心当たりがまったくないという愚鈍さが、自分自身に対する苛立ちをより一層加速させた。


    いったい何が悪かったというのか。途中まで掴みかけたあの花を、あの栄光を、なぜ掴みそこなったのか……
    まるで"見えない落とし穴"にハマった気分だった。どこから脱出したらいいのかがまったく分からない。

    翌朝、二日酔いで重い頭をぎゅうぎゅうと捻り尽くして、つくづく考えてみたが、残念ながら自分自身が納得できる解に辿りつくことはやっぱりできなかった。

    しかし後日、僕は思いもよらぬルートで理由を知ることになる。きっかけは、真由美からのLINEだった。


    【第1話完】

    ●次回予告(第2話)(5月30日公開予定)
    あと一歩のところで美也子にフラれた和弘。原因が見えず悶々とするところに、1年前に別れた真由美からLINEが。
    真由美の話に驚愕する和弘。それは和弘が予想もしていなかった衝撃の事実だった……。次週、その原因が明らかに。乞うご期待!

    <撮影協力>徳真会クオーツタワー

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