東京いい街、やれる部屋2 Vol.2

東京いい街、やれる部屋2:参宮橋で少女漫画のような展開がキタ

腕クイに、お姫様だっこ。少女漫画の展開ばかりだと思ったら


いきなりお姫様だっこをされたと思った瞬間、彩乃の体は宙に浮いていた。突然の巧の行動に脳が追いつかないが、どうやら投げ飛ばされたようである。ドシン!とベッドに着地するとジリジリとこちらに近づいてくる。「え、何怖い!」と思った瞬間、巧はベッドの壁際に手を当て彩乃を壁と自分の間に挟み込んでいた。

(……これは、壁ドン?)

『NANA』にこんなシーンあったかな? と漫画とリンクさせなきゃいけないくらいテンパッていたが、巧は次の瞬間耳を疑うことを話しだした。


「俺さ、壁に追い詰めないと興奮できないんだよね」


性癖というのは人それぞれのため否定はできないが、巧の発言には思考回路が追いつかない。でもひとつわかったことは彼の性癖まで知れたなら、あとはもういいのでは?ということだった。どうにかしてこの流れを止めなくてはと思ったとき、幸運にも彩乃のスマホが鳴り出す。

ごめん、仕事の電話だからでなくちゃとベッドから降り、鞄の中にある電話を耳に当てると相手は雑誌の印刷所からだった。どうやら彩乃が送ったデータに不備があり、見本を出すのに印刷機に回せないという。明日の土曜日の午前中に作業をしないと週明けには間に合わないから、こんな時間に悪いがデータを送り直してほしいということだった。

データは会社と家にバックアップをとっていたので、作業は帰宅次第すぐにできる。これは神様からのお助けだと思った彩乃は巧に理由を話し、丁重に謝って家を後にした。これタクシー代にして、と3,000円握らせてくれたが実はこの距離だと4,000円近くはかかる。1,000円は勉強代だ、と思いながらタクシーに乗り込んだ彩乃はふと巧の部屋を思い返した。

シンプルで素敵だったけど、ソファとベットの位置が程よい距離で、投げ飛ばすことを考えての配置だったのかな? ベッドも壁にぴったりくっついてたし、あの流れになるのも計算してのこと? そう考えると、『銀彗富運』での帰ろうか発言からの腕クイも計算……。

「きっとこういう風に持ち帰っている子が他にもいるんだろうな」

自分はそうならなかったとは言え、あのままだったらタクミファミリーの一員。今日は印刷所のNさんに感謝しつつ、自宅に帰るとしよう。こんな変わり種ばかりに出会って、彩乃は男の本質を見抜けるようになるのだろうか?

次回に続く。

<これまでの東京いい街、やれる部屋2>
vol.1:そうだ、まずは男の部屋に行こう

<関連連載>
東京いい街、やれる部屋

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