週末婚2016 Vol.6

週末婚2016:嫁姑戦争勃発! 嫁のカルティエのダイヤは姑への宣戦布告

前回までのあらすじ

週末だけ一緒に過ごす結婚・週末婚生活を送る諒介(31)と理帆子(35)。

結婚3周年記念日に理帆子から同居の提案をされ戸惑う諒介だったが、結論は先送りのまま理帆子はミラノへ。しかしそこで作品が壊されてしまうトラブルがあり、理帆子は賞を逃す。

帰国後初めての週末、夫婦で話す前に、面倒な姑との母の日ランチに行くのだが……。

週末婚2016 vol.5:地獄の母の日ランチ! 料理教室を開く姑とバリキャリの嫁は水と油!?


ーー妻・理帆子から見た母の日ランチーー

ヨーロッパからの帰国便は、ビジネスクラスを使ったとしても疲れるのであるが、今日の疲れは普段の比ではない。理帆子はぐったりとして、赤坂のタワーマンションに着いた。

どんなに疲れていたとしても、自分の美意識でコーディネートされたインテリアの、美しく完璧な部屋に入ると気持ちが安らいでいくのを感じる。家具は、イタリアのカッシーナと、デンマークのアイラーセンを自分流にコーディネートしている。特にアイラーセンのダークブルーのソファはお気に入りだ。

35歳ともなれば結婚している友人も多く、彼女たちの多くは理帆子と同様に共働きなのであるが、皆口を揃えて言う。

ー出張でたった1日、2日家を留守にしただけで、帰ったらもう家がひどいのよ。床にはゴミが散らかってて、キッチンは洗い物だらけ。せめてゴミ捨てぐらいしてくれたっていいと思うのに、それすら私が言っておかないとしてくれないのよ。どうして、男って察するっていう能力がないのかしら。ー

その点、理帆子を迎えてくれるのは、散らかったリビングでも、洗い物がたまったキッチンでもなく、お気に入りのインテリアと、窓の向こうにはまるで自分だけを優しく照らしてくれるような東京タワーの明かりだ。

自分の力で築き上げたこの完璧な空間を、汚す人間はこの部屋にはいない。たまに、家事代行サービスを頼むこともあるが、自分の財布からそれを頼んだとしても、良く思わない夫たちというのは多いはずだ。

その点、理帆子は自由そのものだ。今日のような海外出張から帰った時に、友人たちの声を思い出し、心から満足感を覚えるのだった。

疲れのせいかなのか喉の渇きを感じ、冷蔵庫を開けると、目障りなものが目に入ってきた。出張に行く前、姑が急に理帆子のマンションを訪れ置いていった、筑前煮のタッパーだ。

今週末は姑を囲んで母の日のランチをすることになっている。週末婚は、夫との同居による家事の面倒からは逃れられるが、夫の家族との付き合い、というところからはさすがに逃れられない。

姑・淳子が自分を気に入らないことなど、結婚する前から分かっていたことだ。結婚前に、諒介の母親について尋ねたことがある。すると、諒介はこう言った。

ー結婚してから一度も働いたことがなくて、ずっと専業主婦なんだ。料理をつくって家族に食べさせるのが何よりも楽しみみたいな人かな。とにかくなんでも手作りが好きなんだよな。ー

たった一言ではあるが、姑となる女が自分を気に入らないだろうことは明らかだった。夫を支え、家庭を守ってきた世田谷の専業主婦に、自分のように物事を合理的に考え、仕事を最優先に置くような女が好かれるはずはない。

初めて諒介の実家を訪れた時、家の有様は理帆子の想像以上だった。壁には手作りのパッチワークが飾られ、料理は前菜からデザートのアップルパイまで全て手作り。もちろんパイはパイ生地から作っているという。一番驚いたのは、トイレに入った時だった。なんと、トイレカバーまでもが手作りなのだった。

姑は明らかに理帆子を気に入っていないのであるが、なぜか結婚してからちょくちょくとマンションを予告なしに訪ねてくるのだった。自分の話を一方的に話しながらも要所要所に理帆子への皮肉を吐き、そして、「手作り」の別に美味くもない惣菜を置いていく。

あれは、犬がするような姑のマーキングだと理帆子は思っている。

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