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#東京悪女伝説 Vol.14

その名はサエコ:策に溺れた女。サエコの逆襲が始まる......?


ガチャ。音がして、会議室のドアが開いた。

「遅れてごめんなさい。前のミーティングが押してしまって。」

入ってきた女を見て、さとみは驚いた。

ーサエコ・・・ー


可憐なピンクのシルクシャツに、白いパンツを合わせているサエコは、まるで遅れて咲いた桜のように華やかだった。

28歳の女の肌に、オフィスの煌々とした蛍光灯は辛い。
暗い照明では隠せるアラも、下地も、コンシーラーの努力も虚しく露呈してしまうものだが、サエコはどうだ。

意地悪く目を凝らして見るものの肌は、血色がよく艶やかで、くすみはおろか毛穴さえ見つけられない。


唐突にサエコと目があった。

じっと盗み見ていたのを気づかれたようでびくっとしたさとみに、サエコは、冷たく微笑んだ。それば、勝利の微笑みのような、溺れた犬に対する哀れみのような、愚かな女を見るときの侮蔑のような気がした。

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#東京悪女伝説

絶世の美女ではない。だけどなぜかあの子には男が途切れない。あなたの周りにもきっといる、そんな女のお話です。

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