2016.04.04
不変を貫く志があるからビールも小瓶にこだわる『季節料理 湖月』
表参道
「先代の頃からずっとビールは小瓶だけ。今後も、それを変えるつもりは一切ありません」
温厚そうな笑顔で、きっぱりと断言する店主の佐藤重行氏。『季節料理 湖月』はドイツ・ハンブルクで開店、今の場所へ移転したのは昭和42年という歴史がある日本料理の名店。佐藤氏が老舗料亭などを経て、この店に入ったのは20年程前で、当時はまだ先代女将も店に出ていた。
「女将が京都のご出身で、だからでしょう、京料理のイメージが定着していった。けど、僕自身、京都出身ではないですから、京料理とは思っていません(笑)。京風ではあるのでしょうが」
佐藤氏はそう言って謙遜するが、淡い出汁の色、今の時季なら鱧を多用する、その料理に京都を思い起こす人は少なくない。
「料理もずっと変えてません」
そんな『湖月』で常連が愛し続ける料理のひとつに、合鴨のロースがある。鴨の胸肉を塊のまま、サッと焼き付け、出汁で煮てからひと晩。表面を丁寧に掃除し、一枚ずつに切り分けていく。しっとり滑らかで上品な旨みがあり、何といっても柔らかい、この鴨の旨さといったら!
「合鴨のロースには、絶対にビールって方は多いですね。それと、鮎。ワタの苦味はやっぱりビールが一番なのかもしれません」
大手4社のビールがすべて小瓶でそろうのも『湖月』の素晴らしいところで、これは女将がすべての客のニーズに応えようとしたためと佐藤氏は推測しているが、こうした客本位の心意気まで受け継ぐ覚悟で、氏は3年前にこの店のオーナーとなった。だからこそ、ビールは小瓶しか置かないし、料理も内装も変えず、今日もカウンターに立つのだ。
「私が入った18年前は、最初から最後までビールって人が結構いらっしゃった。ビール党って方たちですね。けど、今は皆さん最初だけビールを召し上がって、後は日本酒、焼酎、ワイン、お好みのお酒に移行していく。時代が変わったなぁと思います」
移りゆく時の流れの中で、不変を貫く店がある。ビールの小瓶に心がほっこり和むのは、きっと偶然ではないのだろう。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
この記事で紹介したお店
季節料理 湖月
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