慶應ガール、29歳 Vol.5

2度の婚約破棄に、重度のマリッジブルー。慶応ガールらしからぬ人生を送る女のその理由

大学時代「慶應ガール」と呼ばれ、華やかなイメージを持たれている慶應卒の女性。しかし、そのすべての女たちがそのイメージ通りの生活を送っているのだろうか?

慶應というブランド力を持ちながらも、その派手さを苦手とし、日陰の人生を送るのを好む女もいる。そんな「慶應ガール」の人生とは?


<今週の慶應ガール>

氏名:真美
職業:印刷会社
学部:商学部
年収:600万円
住居:埼玉の実家
家賃:5万(実家への生活費)
出自:埼玉出身。高校卒業後に進学。ごく普通の一般家庭出身
ステータス:独身、恋人ナシ

自己評価の低さが売り?慶應ブランドが苦手な慶應ガール


「本当に行きたかったのは、早稲田の政経でした。でも落ちたんです。」

開口一番に女は言った。

確かに、真美から慶應臭は感じられない。慶應出身者たちは自身の学歴を語るとき、否が応にもそこに顕示欲を含ませずにはいられないものだ。そして、彼らは「慶應」という甘美な響きが相手にどんな印象を与えるかを知っている。幼稚舎出身ともなればかなり自分に酔っていることも多い。

真美はその対極にいる女だった。

埼玉のごく一般家庭で育ち、父親は普通のサラリーマンに母親は普通の専業主婦。高校までは公立で、慶応商学部には一般入試で合格した。

「高校時代は、スニーカーにジーパンみたいな恰好しかしたことがありませんでした。なので、周囲の女の子たちがピンヒールにヴィトンのバックを制服のように身に着けているのには衝撃でした。」

真美からは、怯えた子犬のような印象を受ける。小づくりの体型に、まん丸の垂れ目が印象的な可愛いらしい顔。そしてそのパッチリとした瞳を自信なさげにこちらに向けてくる。

「今でも大学やサークルの友人もいますし、慶應出身ということで得をしたことももちろんあります。でも、どうもあの派手さに馴染めないというか、得意ではなかったです。」

都会にいる慶應出身者でも、たまにこういう女に遭遇する。素材が悪いわけでもないのに、「自己評価の低さが売りです」とでも言うように、最前線の煌びやかな女たちの陰に隠れひっそりと生活しているのだ。

「結婚」はしたい、でも「結婚生活」を考えるとゾッとする。2度の婚約破棄の理由


真美は大学卒業後、印刷会社に就職した。もともと本が好きな文学少女で、仕事はどんな形にせよ本に触れていたいというのが彼女の希望だった。

そして社会人になった真美は、2人の男と付き合い、それぞれと2度の婚約破棄を経験した。

地味な女に限って派手な事件を起こすのはもはや定番だ。1人目は年上のいわゆる金持ちの男で、年下の恋人を蝶よ花よと可愛がってくれた。

「新しい世界を見せてくれる彼が好きで楽しかったのですが、根が庶民なので段々と嫌になってしまったんです。」

真美は財力に価値を見出せず、破局を選んだ。彼女らしいもっともな理由である。

20代も後半に入り、周囲の結婚話もよく耳に入るようになってきた。そして彼女は、周囲と足並みを揃えるべく、「普通の庶民の結婚」を目指した。

「当時は結婚願望がかなり強くなっていました。今思えば、周りと同じレールに乗りたくて、とにかく普通の結婚というものがしたかったんです。相手は地味で無口な、まさに普通の人でした。」

その男とは3年程付き合い、真美からもかなり結婚のプレッシャーをかけ婚約にたどり着いた。しかし、同棲も開始し婚約指輪を選ぶ段階になって、ひどいマリッジブルーに陥ってしまったのだ。

「結婚をしたい気持ちに変わりはなかったのですが、彼と一生添い遂げる自信がなくなってしまったんです。先に同棲したのが間違いだったのか、不安ばかりが募りました。」

そして、2度目の婚約解消となった。

周囲と同じように「結婚」はしたい。しかし、結婚生活というものを実際に想像したとき、真美にとってそれはネガティブなもの以外の何物でもなかった。

そして真美は、自分の将来や目標を見失った。自分が何をしたいのか、何をしたくないのか分からない。ひどく痩せ細り無気力になった彼女は、埼玉の実家に戻ることにした。

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