東京DINKS Vol.15

東京DINKS:34歳が思う、思い出したらきっと泣いてしまう夜の出来事

前回までのあらすじ

結婚後、子どもを持たない生活を選んだ太一と愛子。結婚前と同様に時間とお金を自由に使い、お互いを尊重し干渉しない2人。

太一の浮気相手・葵が突然家に訪れ、愛子は太一の浮気を知らされた。葵と同じ会社の先輩・寛は、愛子の昔の恋人でもあった。葵が太一と愛子とのゴタゴタを相談していると、寛はまだ愛子に未練があるようで…。

東京DINKS第14話:ポップに浮気する30代男と、男を踏み台にする20代女の攻防


愛子に未練があるのは本当です。

愛子に再会した時言ったように、シンガポールから東京に戻って、僕はいつでも愛子の姿を探していました。

一緒に行ったことがある店はもちろん、当時はまだなかった店や初めて行く店でも、どこでもです。「男のくせに情けない」なんて言わないでくださいね。

だからあの日、再会した時は夢を見ているようでした。でも、覚悟はしていましたが、やはり彼女は結婚していた。もしまだ結婚していなければ、もう一度交際を申し込みましたよ、絶対に。

だから再会後、食事に行った時も、そんな自分の下心を見透かされないように必死でした(笑)。幻滅されたり、嫌われたくありませんからね。それに、愛子にそんなことをさせたくなかった。そんなことって、私との浮気…ですよ。そうなってしまったら、私も止まらなくなりそうですしね。

2回目に会った時は、愛子に「帰りたくない」なんて言われて本当に困りました。本当か冗談か、6年ぶりの私には判断できませんでした。本気だったのか、何か試されているのかよくわからず、臆病な私は安全牌を選びましたが…。

実はまた、日本を離れることになったんです。シンガポールに赴任していた時に現地で知り合った不動産会社の社長が、新たに広告会社を始めるから、そこに来ないかと誘われまして。それも破格の待遇で、ですよ。シンガポールの勢いは皆さんご存知ですよね。

自分でも、シンガポールの水が合っていたと思うし、何より刺激に満ちた国ですからね。今の仕事もやりがいは十分すぎるほどありますが、さらなる自分の可能性に賭けてみたいんです。40歳目前の今、タイミングも絶好だと思っています。

先日までは、こんなこと考えもしませんでした…。いや、妄想はしました。もし、そうなったらいいなと。でも絶対に無理なことだとわかっていましたから。でも今は違います。シンガポールへ愛子を誘ってみようと思っています。

そう、2回目ですね、彼女をシンガポールに誘うのは。
愛子が今、幸せだったらこんなことは考えもしなかった。でも、そうではないのなら、可能性にかけてみたいんです、もう1度。

後輩の山内葵は、私が愛子とくっつけば邪魔者がいなくなる、とほくそ笑んでるようでしたね。その思惑が手に取るようにわかって、全力で止めましたよ。

彼女の心に響いているかはわかりませんけど…。決して彼女のためなんかじゃありませんが、愛子が今ご主人といて幸せじゃないのなら、私が幸せにしたい。ただ、それだけです。

【東京DINKS】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ