
東京悪女伝説:"獲物”を見つけた男と女。野蛮な太陽が暴れだす・・・?!
その頃広尾のマンションの一室では・・・
その頃広尾のマンションの一室。
20畳は優にあるだろう、その高級マンションのダイニングは、年代もののシャンパンが揮発して湿度が保たれているのか、加湿器がなくともじっとりと湿っている。
エクゼクティブと思しきビジネスマンや、外国人もちらほら。絹のような腕を惜しげもなく出した細く美しい女たち。
皆、毛並みのいい血統証付きの粒揃いのようでいて、反面、胡散臭い詐欺師のようにも見える。得体の知れぬ玉石混交の男と女・・・
仮面舞踊会のような危うさに、自然と警戒心が上がりながらも、アップサイドの果てしなさに、アンは思わず幸せの眩暈を起こしそうになっていた。
—アンちゃん、本当にますます綺麗になって!やっぱり女子アナなんだねぇ。—
二流広告代理店の男の言葉で、はっと我にかえった。アンと連れ立ってパーティーに行けるのがよほど嬉しいのか、身の程をわきまえず、アンの腰に手を回している。
—でも、東京だと、山梨テレビは見れないのが残念だなぁ。—
悪気はないであろう男の二言目に、アンは見逃してやっていた男の手を腰からベリベリと引き剥がす。
キン肉マンのような顔をした二流代理店にこれ以上付き合っているわけにはいかない。アンは、シャンパンを片手に、辺りを見渡した。
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