ハブとマングースの戦いより面白いかもしれない。
サエコという女の餌を突っついていた獰猛で美しい女たちは、言うだけ言って飽きたのだろう。別の餌を投下すると、空腹で気が狂ったピラニアのごとく、目の色を変えて食いついてきた。
—さすが、さとみ。顔が広けりゃ、カードも粒揃い!—
ーどんな人!?イケメン弁護士?ー
知り合いの弁護士の名はタクミ。身長180cmを超える斎藤工に似たイケメンだ。青学中等部、高等部を経て、一橋大学に進学。父親は、時々テレビにも登場する国際弁護士で、歯に衣着せぬ物言いでお茶の間での好感度も高い。父が開業する法律事務所の二代目として将来も安泰だ。
しかし、この男、うっとりするほどの釣り書きだが、内情を知れば、おぞましくなるほどの女好きだった。
狩猟本能旺盛で、捉えた女は数知れず、逃した女は片手に収まる。ぽってりした唇に、涼しげな切れ長の目は、見ているだけで犯されそうだ。カルーアミルクのように、甘くて、飲みやすい酒に潜んでいるリキュールのように、女を安心させ、酩酊させていく男・・・
さとみの説明に、女たちの顔が凍りつく。
「タクミにだけはくれぐれも注意してね。お友達の弁護士は皆真面目だから安心して。男性陣は5人。女の子が、一人足りないんだけど・・・」
さとみは、皆の反応を弄ぶように、ゆっくりと笑った。
「サエコちゃん、誘ってみない?」
女たちが、訝しげな顔をして顔を見合わせたあと、面白そうに視線を絡ませた。
大富豪か、資産数億の男か知らないけど、あの女にそんな男、不釣り合いもいいところ。サエコの何がイイのか知らないけど、男をたぶらかす魔性の力があるのなら、存分に発揮すればいい。
—タクミとサエコ。ハブとマングースの戦いより面白いものになるかもしれない・・・—
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