東京☆ビギナーズ Vol.11

東京☆ビギナーズ:小熊系男子が語る、銀座。23時コリドー街の“戻りガツオ”を狙え。

前回のあらすじ

関西出身のインターネット広告営業マンのシンゴ(28)は、社会人6年目で突如、東京転勤に。

キラキラモデルとの合コンで現れたのは、コースメニューにないヴーヴ・クリコをやたらと注文したがる女。お会計が跳ね上がるも2,000円以上は払いたくない模範的東京女子たちに、お財布は大打撃。これは、地方から転勤してきたアラサー社会人が、東京の独特な文化に染まりきった女性たちとの闘いを描いた物語である。

前回東京☆ビギナーズ第10話:「ヴーヴ・クリコ飲みたがる女」との遭遇と、東京女子最大2,000円理論。

ライバルのルーツを探る旅、銀座・コリドー街にて。


シンゴは、銀座駅から程なく近い店、立ち飲み屋『しまだ』にいた。

彼は新宿のインターネット広告代理店に勤務しているため、正直なところ、中々銀座エリアまで足を運ぶことはすくない。なぜ彼は、そんな街、銀座に舞い降りたのか。

― ここが、溝口がテリトリーとしている、銀座… ―

溝口は、以前、大きなプロジェクトのチャンスがあった際、先方のクライアントキーマンにぴったりマークをしていた、港区の大手総合系広告系代理店に勤める巨漢の男だ。おしぼリボルバーなる必殺技で、シンゴを文字通りハチの巣の如く打ちのめした輩である。

ヤツの必殺技、おしぼリボルバーは、間違いなくここ銀座で生まれたはずであり、そのルーツを探るべく、銀座で飲もう、ということになったのだ。

旧友との再会。そして新たな仲間との出会い。


「お、シンゴ!ひさしぶりやな!はよ飲もうや!ビールでいい??」

店に入ると、二人の男がいた。すでにシンゴを待たずにビールを飲み始めていた。

「いやぁ、久しぶりやな。まさかシンゴも東京におったなんてな!」

そう話すのは、シンゴの大学時代の同級生の剛だ。全身をネイビーのバーニーズニューヨークであつらえたスーツを着こなした、いわゆるデキるビジネスマン風の男だ。顔立ちも整った二枚目顔で、身長178㎝くらいの、サッカーか陸上をやってそうなスリムだが筋肉質な体つきの、いわゆる「イケメン」だ。

「俺が大学卒業後に、東京配属からのまさかのミャンマーに赴任してから3年、すっかり合ってなかったな。」

彼は、大学時代はよくシンゴとつるんでいたのだが、帰国子女ということもあり、丸の内の某大手商社に就職。関西に居を構えたシンゴは、少し水をあけられていたように感じていたのだが、ちょうど海外への赴任から帰って来たということで、敵のリサーチも含めて、久しぶりに飲もう、ということになったのだ。

「なんか仕事で悩んでるんやって?まぁ堅い話はあとに、一旦飲もうや。ハイ、完敗!」

そういって杯を交わすと、とにかく話は飲んでからということに、関西の緩いノリで会は始まった。

「あ、紹介遅れたわ。横にいるのは健太郎、俺の東京での悪友やで。」

「どうも、健太郎です。よろしゅうお願いします。」

ハキハキと挨拶をしたその男は、力強く右手で握手を求めてきた。

シンゴは、初めまして、と握手をしたのち、軽く会釈をした。

一言でいうと、そう、「小熊系男子」


「健太郎は、同じく丸の内の大手メディア会社で営業やってるねん。シンゴともちょっとだけ仕事近いかもやし、銀座では無敵やから、なんかおもろいかなと思って呼んだんやわ(笑)」

そう剛が紹介する、健太郎という男。見た限り、ちょっとだけ筋肉質ではあるものの、身長は170㎝あるかないかの少し小柄な体格で、服装もジーンズにシャツというビジネスカジュアルスタイル、顔はつぶらな瞳をもった、イケメンというよりも少し親近感のあるタイプだ。

― こいつが銀座で無敵・・・? ―

そんな疑問がわきつつも、和やかな笑顔と会話の端々にイイやつオーラが見える健太郎と杯を交わすと、そんな疑問のどこへやら、三人は打ち解けていった。

― なんやろ、このふわっとしたこの雰囲気のキャラ…一言でいうと、そう…―

「ぼく、『小熊系男子』ってよく言われるんですよね。」

「そう!それ!てか心の中読めるんですか!?」

「いえいえ、なんとなくですよ。」

そう話す健太郎のつぶらな瞳の奥には、底知れぬ得体の知れない何か渦巻いているようだった。

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