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東京札幌物語 Vol.2

東京札幌物語:希(23)、8割の罪悪感を抱きながら、合コンの誘いに揺れる。

片田舎に住む少女は、ドラマを通して、東京の夢を見る。


現在、「代官山」の家賃13万の1Kマンションに住んでいます。会社から3駅以内に住むと家賃補助が出るので、実質負担は10万円です。

最初にこの街を知ったのは、昔見ていたドラマ「やまとなでしこ」です。このドラマの主人公が代官山に住んでいたというのも、代官山への憧れを加速させた一因です。

合コン大好きな主人公が住んでいたのは、タワーマンションのはしりという代官山アドレスの近くのボロアパートだったのですが、彼女は、デート相手たちに「私ここに住んでいるの」と代官山アドレスを見ながら満面の微笑みでした。

主人公が住む部屋は床もギシギシと痛み、漏電するほどに古いものでしたが、クリスチャン・ディオールや、VALENTINO、エルメスに、FOXEYなど、私は雑誌でしか見たことがない、女性の憧れブランドの洋服やバッグが所狭しと並んでいる光景は、女性の夢そのもの!ボロアパートに似つかわしくないその優美なファッションに身を包んで、東京の街を歩き、男性たちを虜にする華やかさに、「東京ドリーム」と目を奪われたものです(笑)

そびえ立つタワーマンション、その前にある摩訶不思議なオブジェ、その前のゆったりとしたスロープに、交際相手の大病院の御曹司の高級車が止まる光景は、何とも眩しく、東京の象徴のように、片田舎に住む女の子の心をつかみました。東京に対する憧れを引き出すのには十分でしたね。

合コンなんて、したこともない私でしたが、東京では合コンが毎晩のように繰り広げられて、素敵なファッションに身を包んだ男女が、乾杯するんだ・・・なんて少しだけ夢をみたものですが、

実は、明日・・・

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東京札幌物語

歳を重ねるごとに、変わりゆく価値観、パートナー、経済感覚。刻々と変化し続ける自分の人生において、調子がよいときには煩わしくも感じる「地元」の存在は、期せずして訪れる挫折と絶望のとき、優しく手を差し伸べてくれるはず。これは、北海道大学を卒業したのち東京の会社を中心に就職活動をし、渋谷にあるとあるインターネット企業に就職した北原希(きたはらのぞみ/23歳)の「東京」と「地元」の物語。

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