東京路線バトル：老舗の復権なるか!? 『都営浅草線民』の逆襲

東京を走る電車の路線数、その数実に23区内で62路線。

維持費の高さゆえ、車を「あえて所有しない」人が多数を占める東京において、各路線はその沿線に住まう人々のライフスタイルへと直結し、「何線沿いか」「何駅か」で得体の知れないヒエラルキー闘争が繰り広げられているとも言う。

今回東京カレンダーでは、路線に住む人々ごとに集まってもらい、その戦いを追ってみた。

第一回は、『都営浅草線』。はたして都営浅草線沿いに住まう人の心境やいかに・・・

－まず、みなさんのお住まいを聞かせてください

Ａ（34歳・女性・浅草線歴34年）：私は押上です。生まれも育ちも墨田区なので、ずっとホームタウンの駅として利用しています。はっきり言ってキャリアが違います。

Ｂ（38歳：男性・浅草線歴4年半）：私は人形町。日本橋の証券会社に勤めています。数年前、阿部寛主演の「新参者」というドラマの舞台になったときに素敵だなと思い、会社も近いこともあって、妻とマンションを購入しました。会社は変わるかもしれませんが、この仕事な限りは勤務地はおそらく日本橋界隈だと思ったので。

Ｃ（28歳：男性・浅草線歴6年）：僕は戸越です。新卒で田町のIT系の会社に勤めることになって、帰宅も遅いと聞いていたので、電車で一本がいいなと。田町と三田って同じだから、三田駅を中心にして探した感じです。

東京育ちで無い人には、浅草より東はハードルが高い！？

－皆さんバラバラですね。生まれはＢさんもＣさんも東京ですか？

人形町B：私はさいたま市出身です。就職を機に東京に出てきた感じですね。

戸越Ｃ：僕は静岡の浜松市です。大学から上京しました。

押上Ａ：東京に昔から住んでた人以外、蔵前より東の方ってまず住まないですよね。私の周りも皆地元の人ばかり。特に本所吾妻橋あたりから、一見様にはちょっと厳しい雰囲気になってくるかもしれませんね。

人形町Ｂ：なんかわかる気がします。ちょっと怖い。。

押上Ａ：怖くは無いです！

人形町Ｂ：だって実際浅草とか怖い感じの人多いじゃないですか。

押上Ａ：見た目の話で、みんな心は優しいです！

戸越Ｃ：僕も浅草線沿いならどこでもよかったんだけど、そっちのエリアは選択肢にも入らなかったな。なんか駅も暗いじゃないですか。

押上Ａ：都営浅草の駅は全部暗いでしょ！イメージです！

－本所吾妻橋から東は、実際、墨田区になります。つまり、墨田区に入るとちょっと別世界になると？

押上Ａ：別世界って程じゃないですけど、うーん、まあ確かに昔から住んでいる人が多い歴史ある地区なので、閉鎖的かもしれないですね。スカイツリーができても、なかなか街が発展しない地域住民の頑固さがあります（笑）。でも、墨田区だっていろいろあるんですよ。大人の遊艶地錦糸町も墨田区だし、なんて言っても国技館、両国もある！

人形町Ｂ：それ自慢になるの？

戸越Ｃ：両方とも総武線じゃないですか…

都営浅草の誇り、それは「銀座（東銀座）を通っている」

－皆さん普段、仕事終わりはどこで飲まれてますか？

押上Ａ：やっぱり電車一本なので、銀座かな。

人形町Ｂ：私は銀座か、オフィスのある日本橋。

戸越Ｃ：僕も有楽町のあたりは多いかな。


－そこはみなさん揃うんですね

押上Ａ：六本木とか恵比寿とかって、日比谷線に乗らないといけないから、自然と足が遠のくんですよね。

人形町Ｂ：わかる気がします。私も引っ越して、東京の東寄りに住んでしまうと、ちょっと渋谷方面は帰るのが面倒だな、という気持ちになる。

戸越Ｃ：都営浅草は東銀座を通ってるのはやっぱりでかいですよね。都営浅草住民の心のよりどころですから（笑）。おれの電車、「銀座通ってるぜ」って。「東」銀座なんですけど、そこは丸めて「銀座」だと（笑）

押上Ａ：困るのは、いっこうに山の手エリアに近づけないんですよね。そこは結構不便。

人形町Ｂ：そうそう、大門くらいまでは近づくんだけど、そこから南下して、なんか西馬込とか突き進んじゃうから（笑）

戸越Ｃ：品川に行く電車もあるんだけど、品川からは直通の京急線扱いで、浅草線じゃない（笑）

押上Ａ：なので、最大のＪＲ駅は新橋という。新橋って「汐留」みたいな扱いも最近ありますけど、都営浅草の新橋は、「汐留感」は0ですからね。