汐留タラレバ娘 Vol.10

汐留タラレバ娘:34歳独身女。「好き」と言われたら「彼女」認定?

前回までのあらすじ

独身34歳3人組、アキコ、貴理子、なお美。化粧品会社で、経理課長代理として働く島田アキコは、仕事もそこそこ順風満帆だが彼氏はいない。「最後の独身男」として女性たちから絶大な人気の玉置孝太郎からデートに誘われたことをきっかけに好意が芽生えるが、後輩の藤咲愛を始め数多の女性との浮いた噂に落ち込むアキコ。そんな中、二度目のデートで鎌倉のドライブデートへ。有頂天なアキコを更に舞い上がらせる玉置の告白の気配・・・

前回:叶うものならアウディの彼氏!


「じゃあ、単刀直入に僕から言うね。」

まるでスローモーションのように、玉置の唇が動く。
その一字一句聞き間違えないように、生涯もう二度とはこないかもしれない、その貴重な瞬間を逃してはたまるかと、視覚、聴覚のポテンシャルをMAXにあげて、目の前の男を食い入るように見つめる。

その次の瞬間玉置が吹き出した。

「島田さん・・・その顔・・・・」

指摘されて我にかえる。まばたきもせずに、玉置の言葉のスクリュードライバーを逃すものかと睨みを利かせていた。おまけに、前屈姿勢になって、玉置の顔に迫るアキコの顔は、ボクサーのような鬼気迫る顔になっていたことだろう。

あまりのがっつき度合いに急に恥ずかしくなり赤面する。

「あ・・・・ごめんなさい。こういうシチュエーション慣れてなくて・・・」

素直に詫びる。その通り、男性との色恋沙汰は、数年ぶりだ。恋愛体質ではないアキコは、事故のように自ら恋にも落ちないし、超・安全運転のため、事故に合わされることもない。恋愛は、オリンピックのように4年に一度あるかないかのビッグイベントなのだ。30歳以降出会いの機会もめっきり減り、男性とのデートの記憶すら霞がかかる。

ふっと笑うと玉置は、自然に言った。

「そういうところも含めて・・・・俺、島田さんのこと好きだよ。」

あまりにも自然な言葉。

少女漫画であれば、一気に周りにシャボン玉のようなキラキラが出現したり、ドラマだったら、BGMのサビがいきなり大音量で流れるシーンだ。しかし、アキコの場合、それはあまりにも自然に、隣の50代と思しき夫婦が心地よく蕎麦をすすり上げる音と共に訪れた。
一瞬の間をおいて、今アキコ史上最高潮のシチュエーションに立っているという得も言えぬ感動が湧いてきて涙さえ流しそうになる。まるで、ドラマの女優になったかのような高揚感。

「私も・・・・・・・」

玉置は、わかっていたよというような、極上の微笑みをご褒美のように与えてくれ、アキコは、従順な犬となって、真っ直ぐに玉置を見つめた。

【汐留タラレバ娘】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ