レジェンド焼肉職人の肖像 Vol.1

東京No.1の呼び声高い焼肉『ゆうじ』、その味に秘めた哲学に迫る!

ここ数年の“肉ブーム”の中でも、とりわけ確固たる人気を誇るのが「焼肉」。今、改めて焼肉を掘り下げるべく、“生ける伝説”級の焼肉店店主の哲学に迫った。3回連載の初日を飾るのは、まごうことなき渋谷の人気店『ゆうじ』の樋口裕師氏。一体、どんな哲学が飛び出すのだろうか。

最近は、牛のブランド名や格付け、熟成、希少部位などを謳う店が多い。だが『ゆうじ』には、それがない。肉だけではなく、焼肉屋の基本である下処理や切り方、味付けや料理の流れが、大切だと考えているからである。だからそれらの仕事を、徹底的に考え抜き、何回も試行したうえで供す。

客本位なのである。美味しく食べてもらえるには?創業して26年、常にそのことだけを仕事の中心に置いてきた。内臓や肉は、部位ごとにほぼ同寸の厚さと大きさに切りそろえ、誰が焼いても焼きムラが少なくなるように、仕込まれている。

おまかせコースの、肉の一例。一見さりげないが、部位ごとの肉質を見極め計算し尽くされたカッティング。もも肉は瑞々しく、ハバキは柔らかく、テールは噛みしめるほどに旨みがほとばしり余韻が長く続く

そのうえで、各部位の個性をいかに生かすかを考え抜いた仕事が、舌を唸らせる。

おまかせコースの塩焼きは、味や食感の違いを楽しめるよう、テール、ハバキ、もも肉、ハラミに絞り、テールは塩こしょう、ハバキは醤油を絡め、モモは青唐辛子で作った薬味をのせる。

かっぱ橋の老舗『釜浅商店』と共同開発したオリジナルの焼き台は、樋口氏の長年の経験値を基に、正肉とホルモン、どちらもが最適な状態に焼き上がるように設計された

ハツアブラ、ギアラ、ヤン、コプチャンなど内臓類も、味を生かしながら、気になる部分を隠す、別々のタレを作って提供する。焼き台も、道具屋と改良を重ねた特注品である。

おまかせコースに登場する一品料理は、もはや割烹の趣。出汁が品よく香る茶碗蒸しには、シビレのミルキーな風味とぷるっとした食感が実によく合う

さらには、シビレの食感が生きた茶碗蒸しや、タンのしゃぶしゃぶ、ホルモンすき焼き、テールしぐれ茶漬け、ホルモン炒飯など、考え抜かれた個性的な肉料理もある。

常連の多くはおまかせだが、「コースもいいですが、自分の好きなものを頼んでください。それが焼肉の楽しみでしょ」と、樋口氏は笑う。そう、常に客本意の職人なのである。


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