シーズン到来!こっそり教える、いまさら聞けない日本酒を美味しく呑む6つの基礎知識

「香・甘・酸・キレ」の4拍子そろった、こだわりの日本酒7

●右から
巌(群馬)
純米吟醸黒ラベル
720mℓ¥1,491
1.8ℓ ¥2,982
高井 ☎0274-24-0011
封を切ると、ほのかなにイチゴ を連想させる香りが。口に含め ば、やさしい甘みと豊かな酸が 舌に乗り、次の瞬間に辛・苦・ 渋といった日本酒のうまみが絡 まるようにして花開く。エレガ ントな風味と抜群のキレの良さ。 濃密でありながら、後味はスッ キリ。思わず、「もう一杯」とい いたくなる食中酒の傑作。

鬼夜叉(新潟)
遠心分離 純米吟醸
720mℓ¥1,620 1.8l¥3,240
北雪酒造 ☎0259-87-3105
レストラン『NOBU』が唯一認 めた銘酒「北雪」の最新銘柄。 遠心分離で醪を搾り、劣化と酸 化を極力排除したおかげで、鋭 さと柔らかさの調和ぶりが秀逸。 品のある香りと後味のいい甘さ、 とろりとした風味も堪能できる。 ちなみに「鬼夜叉」は能楽の祖 世阿弥の幼名。伝統と本質を新 たな意匠で活かした銘酒だ。

新政(秋田)
純米酒 ラピスラベル
720mℓ¥1,700
新政酒造 ☎018-823-6407
芳香と甘み、酸が鮮烈な印象を与える。それでいながら鋭いキレ。 日本酒新時代のホープというべ き酒だ。蔵元の佐藤祐輔氏と古関弘製造部長のコンビは、酒づくりの伝統へのリスペクトと、 ドラスティックな革新性を共存させている。今季も「過去最高」 を更新、彼らが「作品」といって憚らない逸品が醸された。

栄光冨士(山形)
純米大吟醸 無濾過生原酒
山田錦50%
720mℓ¥1,890/1.8ℓ ¥3,780 冨士酒造 ☎0235-33-3200
13代目当主・加藤有慶が蔵を継いで10年目、一途にうまみとキ レを共存させた酒を目指した成果がここに。甘、酸の鮮烈さに続いて五味がバランスよく展開。 さらに重厚な味わいをみせつつ、 喉を通れば見事にキレていく。 余談ながら蔵元は加藤清正の末裔。父祖が愛用した片鎌槍さな がら鋭利な酒だ。

篠峯(奈良)
伊勢錦 純米一火原酒
720mℓ¥1,512 1.8ℓ ¥3,024
千代酒造 ☎0745-62-2301
篠峯ワールドは、メロンにも似 たフルーティーな芳香から幕があく。盃を傾ければ、甘味と酸 味がゆったりと広がる。ことに 酸の立ち方は篠峯ならでは。ス ッキリして雑味にならない。喉ごしのキレの良さも、芳香と甘味を嫌味のないものにしている。 この酒は、飲み急ぐことなくじっくりと味わいたい。

神開(滋賀)
湖南髙畑山田錦七號
720mℓ¥1,512 1.8ℓ¥3,024
藤本酒造 ☎0748-62-0410
盃を鼻に寄せると、フレッシュな果実の香りがたつ。味わいは甘みと酸みが鮮烈。やがて苦みと渋みの追撃になるものの、甘みの印象が勝るところは、この酒ならでは個性。「地元の山村神社のお告げで開いた」という古い由緒をもつ蔵が醸す現代風の テイスト―若々しく溌剌とした風味、それが神開だ。

伊予賀儀屋(愛媛)
無濾過 純米吟醸 黒ラベル
720mℓ¥1,485/1.8ℓ¥2,970
成龍酒造 ☎0898-68-8566
けばけばしくて、はったりを効かせた酒ではないけれど、飲み終えて強い印象を残すのが賀儀 屋。料理の脇役としての酒を意識し、熟成するほどに酒質向上を目指す姿勢がうれしい。香りと甘みは落ち着いた趣ながら、 しっかり口中に広がり、次いで旨みが染み入ってくる。小さな蔵が醸した穏やかな逸品。

増田晶文
ますだ まさふみ●作家。1960年大阪生まれ。
苦境にあえぐ日本酒業界で、うまい酒に全霊を傾ける人々を描いた『うまい日本酒はどこにある?』(草思社文庫)が話題に。今秋「グランドジャンプ」(集英社)で連載スタートする日本酒漫画の原作も担当。

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