
あのホテルを訪れたらこれだけは必食せよ!な看板メニュー9選
山の上ホテル『てんぷらと和食 山の上』
天ぷら定食
新御茶ノ水
~天ぷらは瞬間芸。単純なことこそ最善を極める必要がある~
かの池波正太郎がかつての料理長、近藤文夫をひいきにしたことでよく知られる『山の上』。多くの文士たちが通った天ぷらの老舗であるが、当時から変わっていないこと、そして変わったことの両方がある。
前者のひとつめが、いまでも氷の冷蔵庫を使っていること。これは素材を生かす名脇役であり、木製の扉の中の大きな氷は、日々氷屋によって取り替えられている。
電気冷蔵庫ではどうしてもネタが乾燥し、湿度を保つにはこの方法が一番なのだ。そしてこの店では、揚げ油をいっさい継ぎ足ししない。10名に使用したら、贅沢にも油をそう取っ替えしているのだ。
そして変わったこと、もとい柔軟に対応しているのが衣の具合である。というのも、これは状況や季節に左右されることで、例えば梅雨どきの粉は湿気を含み水分が出やすいのでいくつかの工夫が必要となる。
目指すは油に入れたときに雑味のない音が出る衣だ。音が粗いと、それは衣から水分が出過ぎていることを意味する。
「天ぷらは言葉で学ぶことはできない料理。ただ自分が努力し続けるしかないのです」と5代目料理長の島貫 茂氏は語る。
“衣をつけて油で揚げる”この至極シンプルな工程こそ、技量がものをいう。
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