予約困難必須! わずか8席のみのアートな鮨店

華美でなく、削ぎ落とすことで、際立たせる。そんな、足し算でなく、引き算の美学を感じるお店が増えている。その象徴たるお店に訪れた。

ここは鮨屋か、アートギャラリーか『鮨よしい』

鮨屋といえば白木のカウンター、である。高級な店であればあるほど、そのカウンターの木は継ぎ目がなく、美しく磨き抜かれているものだ。が、その概念を鮮やかに覆す一軒が、東麻布の片隅に生まれた。店の名は『鮨よしい』。

看板はない。人が一人通れるぐらいの階段を上り、暖簾をくぐると、鮨屋とは思えぬほどの薄暗い店内に8mほどのカウンターが鎮座している。鈍い光を湛えるそれは、廃材でできているという。

よく見ると、ところどころにペンキの染みのようなものも確認できる。そして、それとは対照的に、まな板は最高級のヒノキの柾目で目を見張るほどの厚さ。なんとも言えぬ風格を湛えている。空間のコンセプトは“わび・さび”だ。

この道30 年の鮨職人で、銀座の老舗で腕を振るってきた矢部裕二氏が握るスミイカ

わび・さびの精神然り、日本料理はフレンチやイタリアンなどと真逆で、引き算の発想に基づいたもの。シンプルの極みである鮨を味わうには、極限まで装飾を削ぎ落とした空間が有効なのだという。

さらには、店内にディスプレイされたアートピースの数々がここを唯一無二の鮨店だと感じさせる。同店のオーナーである吉井仁実氏が現代アートのギャラリストであることから、杉本博司、草間彌生、フランツ・ヴェストなどの作品を、鮨を食べながら鑑賞できるのだ。

空間の妙か、握りの美しさが際立つまぐろ。コース¥20,000

美味しいだけの鮨店はごまんとある。その中で、大切なのは、いかにお客様の記憶に残るのか、ということ。『鮨よしい』のスタイルは、鮨を食べるという時間の概念を変えてくれる、まさに現代を象徴する存在だ。

鮨との向き合い方に一石を投じる同店。型破りのスタイルを体感されたし。

現代芸術家、杉本博司が8 × 10 のカメラで撮影した「水平線」

ウィーン出身のフランツ・ヴェストがモーツァルトの曲を聴きながら平面を楽譜に見立てて穴を空けた作品「Key」

ハイヒールをモチーフにした草間彌生の作品

書家の華雪が書き下ろした「月」


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