ここで無理なら諦めるしかない!? 口説けるホテルのバー6選

シニアバーテンダーでありソムリエでもある山崎慎一氏。もてなしにただ、身を委ねたい

一歩の距離感で心を掴む一流に一流が集う非日常の砦
ハイアット リージェンシー 東京『オードヴィー』

黒革の肘掛が横一列に付いた長いカウンター、鋲が正確に打たれた革張りのチェア、適度に抑えた仄暗い照明。重厚な印象だが、落ち着いた雰囲気に肩の力が抜ける。

そんな気にさせるのは、空間を覆う赤茶色の壁のせいだろう。この地が東京最古の近代水道施設、淀橋浄水場の跡地だった名残だ。施設に使われていた赤煉瓦を細かく砕いて塗り込んだのだという。

フランス語で“生命の水”に由来する『オードヴィー』は、1980年から愛され続けるメインバー。歳月をかけて築き上げられたのは、古き良き正統派のバースタイルだ。

バックバーまで奥行きのあるカウンターは、バーテンダーにとって格好の舞台装置。ゲストと言葉を交わす時は1歩前に立ち、役目を終えれば1歩引いて空間に同化。つかず離れずの距離感は、プロでも一流しか保てない。

酒もまた格別だ。スタンダードカクテルは「ベースの酒を立たせる」スタンス。マティーニなら、ジン5にベルモット1とかなりドライに。ギムレットも同じで、ジンとフレッシュライムの余韻をきれいに残す。輪郭のはっきりした味わいは、酒に一家言ある海外ゲストからも好評と聞く。

ハードボイルドな日常から隔絶してくれるバーは、知っておいて損はない。むしろ大人の嗜みとして押さえるのは必然か。

左.ギムレット。ジンとフレッシュのライムを効かせたドライな味わい。味の分かる大人に 右.マティーニ。スタンダード、ドライ、エクストラドライと好みやジンの種類も柔軟に応える

エントランス前に広がるテーブル席。一角には個室風スペースもあり、バーとしての汎用性が高い

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