余計な小細工は無し!激戦区・西麻布の鮨を格上げした職人技

コハダ。三重産。圧倒的な旨みがほとばしる

この店は間違いなく、鮨激戦区・西麻布の格を上げた。

『西麻布 真』が2011年、ビル3階から日赤通り沿いの路面に移転した。鈴木真太郎氏、第2の船出である。念願のオープンでこだわったのは「昔ながらの鮨屋らしい鮨屋」の佇まい。そのあたり、修業時代に全国の鮨屋を食べ歩き、生業としてなお「毎日食べても飽きない」生粋の鮨好きらしい。

大きな変化は、やはり店内だろう。おさ欄間、麻の暖簾、白木の浮き棚、百日紅の化粧柱。モダンな前店とは打って変わって、和の意匠を凝らした端正な空間だ。

つけ台に直接、握りを置くという向きも、粋ではないか。10年後、白木がべっ甲色になるよう大切に大切に使い込んでいく構えだ。腰を据えて。

イサキ。大分は豊後水道産。淡白だが深い味わい。以下、料理はすべて¥12,000~のおまかせより

奇をてらわず、シンプルに。その姿勢は、鈴木氏の鮨そのもの。

「物足りなさを感じていた」というしゃりは、さんざん試してより「強く」。数年を経て、ようやく今の味に落ち着いた。豊富な鮨種は変わってない。

旬の魚を、とびきり旨い鮨を。日々その一心。だから、築地でいい魚を見れば、つい手が伸びる。鮨職人の“嬉しい”性だ。

穴子。長崎は対馬産。香ばしく、口の中でふわりとほどける

はたして、舞台はととのった。あとは鮨道に励むのみ、であろう。「この先、年季が入ったら、いずれは握り1本だけで勝負できる鮨屋になりたい」と、鈴木氏。

ここではうんちくも講釈も無用。プライベート使いほど、楽しめるはずだ。まっさらなカウンターには、真に鮨を愛するものが座るべき。一途な職人を前にしては。

中トロ。青森産。濃厚かつパワフルな鮨種

海老。大分産。風味が高く甘みも強い。コハダ同様、おぼろをかませる

しゃことあわび。青森の活けのしゃこは茹でて塩を、千葉産のあわびは肝のソースをそれぞれ添えて

高校卒業後、鮨職人の道へ進んだ鈴木真太郎氏。修業時代は全国各地の鮨屋を巡り、旺盛に食べ歩く。2003年『西麻布 真』をオープン、2011年6月8日に移転を果たす。

塗りのはけをはじめ仕事道具にも徹底的にこだわった

新店では個室も設ける。4名までの利用

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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