美食家たちが選ぶ「私を変えた一皿」を14品、一挙ご紹介!

ジャーナリスト 小川フミオのBest Choice

夜コース¥10,500~のひと品。食材の味を活かす衣をはじめ、火を通すことで食材のポテンシャルが引き出される。時間をかけて揚げるサツマイモは素晴らしい出来だが、最近はジャガイモの天ぷらが新定番に

『てんぷら 近藤』の
「さつまいもの天ぷら」

ごま油のなかでみごとな“作品”を作る『てんぷら近藤』の近藤文夫さん。出てくる天ぷらは、こんな組み合わせまで! と驚くようなものもある。それと同時に感心するのは、油を替える頻度。少しでも濁っているのが嫌いらしい、というインサイダーの声を聞いたことも。

澄んだ油からカラリと上がる天ぷらを味わうと、至福の気分になる。

¥2,310。初夏から秋にかけては、山形の羽黒羊を堪能させてくれるが、「アルザス料理」を看板にしているだけに、シュークルートガルニも質、味ともに素晴らしい出来。豊富なアルザスワインのリストも魅力的

『レヴェイヨン』の
「シュークルートガルニ」

『レヴェイヨン』の菅原徹シェフは、アルザスでの1ツ星レストラン時代に経験した料理を下敷きに、旨いシュークルートガルニを作る。豚の皮付きスネ肉やスモークをかけた自家製ソーセージなど、全てこのために用意する手のかけ方だ。

夜コース¥5,250~のひと品。最近多くなってきた汁なし担々麺の中でも白眉のひとつ。四川料理『趙陽』出身の山村シェフによる女性ならではの優しさが感じられる。辛いだけでない個性的な美味しさ

『梅香』の「汁なし担々麺」

神楽坂『梅香』は、女性シェフによる四川料理店。ひとことで特徴をいうと、辛いが優しい。

「麻婆豆腐は豆腐が美味しいと思ってもらえないといけない」という言葉に代表されるように、山村光恵シェフの個人的な考え方が、見事に出ている。汁なし担々麺も完璧な出来だが、さらに辛いだけでない味わいが、一層の輝きをみせる。

結論的にいうと、トリュフのような高級食材に多くを語らせ客を沈黙させる料理より、一見単純でも、そこから世界が広がっていく料理が僕は好きだ。その背景にいるシェフという人間に会えるから楽しい。それこそが不変の価値だ。

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