やまとなでしこ 2015 〜極上の結婚〜 Vol.6

やまとなでしこ2015 ふたりを乗せたタクシーが向かった先は・・

前回までのあらすじ


27歳の桜子は「(並みの)結婚をした女は負け犬」と考え、持ち前の美貌と教養とセンスで「極上の結婚」を狙っている。某企業の次期社長のポジションにいる交際相手・隆弘を手堅く押さえつつ、更なる高みを目指し参加した食事会で、メディアに引っ張りだこの若き経営者・国分与一に出会う。手練の桜子は、狙い通り国分を射程圏内に押えることに成功したが・・

正攻法では落ちない男は、奇襲攻撃で落とせ!?

「大丈夫です」という国分を引っ張り、「それでは、私の気持ちがすみません!」と半ば強引にタクシーに押し込んだ。

謝罪の仮面を慎重に大胆に被れば、もはや、本当に申し訳なく思えてくるから不思議だ。

店を出たタクシーの車内、桜子はしつこい謝罪の言葉を一瞬止めて静かに言った。

「国分さんは、シャツ一枚なんて、って思うかもしれませんが、母から、良いものを買って長く大事にしなさいって言われてるんです。」

白々しい言葉を吐きながら、それでも隣の国分が感心しているのが分かった。


2人を乗せたタクシーは、外苑西通り沿いのカフェ『café bar à vin Des Près』で止まった。休日ともなれば、道路に張り出したテラス席は、近くに住む外国人で埋まり、東京の狭い空から注がれる貴重な太陽を贅沢に浴びている。その一角は、まるでパリの街角のようで、広尾の景観を彩っていた。

夜の『café bar à vin Des Près』は、店内にまばらに人がいるだけだ。

「国分さん、本当にごめんなさい。ちょっとここで待っててもらえますか?すぐに着替えを持ってきますから。ワイシャツすぐに洗ってクリーニング出しておきます。」

「え・・・??」

まさかの棚ぼた的展開を密かに期待していたであろう国分をカフェで降ろし、桜子を乗せたタクシーは目と鼻の先にある1Kの一人暮らしのマンションの前で止まった。国分の心の内が手に取るようにわかり少しだけ申し訳なく、少しだけ愉快な気持ちになる。


クローゼットから、ベアフットドリームのネイビーのパーカーを取り出した。大きめのパーカーは、男性でも十分に着れるものだ。

ーこれで、ワイシャツとパーカーの交換が成立。次のアポイントは確実ね。ー

桜子は、玄関前に置かれた鏡の前で、薄くヌードベージュの口紅を引き直すと、上下左右に首を振り、隙がないかを確認した。そして、国分が待つカフェへと急ぐ。その足並みは軽快で、時にスキップが混じっていた。


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