非常によくおモテになる殿方のホワイトデー Vol.4

恋人を裏切ったバレンタインからの、非常によくおモテになる殿方のホワイトデー

ーしまった。もう20時だー

会社の後輩、大学の同級生、会社の先輩と3つもチョコレートをもらった今年のバレンタインだが、こんな僕にも付き合って2年になる恋人がいる。2月13日を徹夜で過ごし、帰宅したのは昼過ぎ。そこからずっと爆睡して起きたのは20時。恋人の亜梨沙(27)と18時に約束していたというのに。

携帯を見ると着信が5件。LINEを開くと悲しげなコニーのスタンプが並ぶのをみると居たたまれくなる。電話しても繋がらない。約束の時間から2時間過ぎている。無理もない。

罪悪感に苛まれながらも、吉野家にでも晩飯を食いに行こうかと玄関を開けた。すると、ドアノブに紙袋が掛かっていた。

紙袋には、ロブションのチョコレートと手紙が入っていた。

—お仕事お疲れさま。ゆっくり休んでねー

亜梨沙は僕の家に来てチャイムを鳴らすでもなく、僕を気遣ってくれた。そんな彼女の優しさに、胸が痛む。



3月に入ったとある平日の夜、亜梨沙と食事をした。ホワイトデーの夜の予定を聞くと、ぎこちなく「空いている」という。

多少ご機嫌斜めなように思える亜梨沙のために、彼女が行きたがっていた銀座のリストランテ『アロマフレスカ』を予約した。当日まで彼女には内緒にしておいた。3月14日、銀座三越で17時に待ち合わせて少しウィンドウショッピングをし、店へと向かう。

「今日、アロマフレスカなの?私が行きたいって言ってたの。覚えててくれた?」

「もちろん。いつか行ってみたいって言ってたよね」

「えー!嬉しい!!」

イタリアンながらに日本風のアレンジを効かせた味わいは、パスタを中心にどれも美味。中でも「和牛のビステッカ」がスペシャリテだ。

「このお肉、本当に美味しい!んーっしあわせ♡」

待ち合わせた時の不安げな表情が嘘のように晴れる。デザートを食べ終え、食後の珈琲を啜る。会計を済ませるために僕は席を立ち、席に戻る時に今日手渡すプレゼントを持ってきた。ちなみに会計は43,000円とだいぶ値が張ったが、亜梨沙のご機嫌ぶりを見れば、バレンタインの償いとしては高くないように思えた。

「はい。これ。バレンタインのお返し」

「なんだろう・・・あっ、ジョーマローンのキャンドル?」

バレンタインは会えなくてごめん。仕事で疲れて爆睡してたんだ。そう告げた。

すると亜梨沙は少し涙ぐんだ。

「雄太くん、バレンタイン前後全然会えないし連絡もくれないから。誰か他の女性を好きになっちゃったんじゃないかと思って・・・」

たしかに今年のバレンタイン前後にはいろいろあった。ちなみにホワイトデー前後にも色々あった。他の誰かに一瞬でも心が動かなかったといえば嘘になる。チロルチョコをもらっただけで鮨屋ではりきってお返しした夜もあった。

しかしあくまで僕の恋人は亜梨沙。彼女を悲しませるようなことはもうしまい。たぶん、しない。しないんじゃないかな。


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