女はつらいよ。 〜女子会は、甘くて苦い〜 Vol.4

女子会は甘くて苦い:『サルドゥマキノ』でマリッジブルー

「結婚かぁ・・」

仕事始めの会社からの帰り道、由里(27)は歩きながら一人声に出してみて、堪らずため息をついた。年末年始は、こう着状態の恋が進むか退くか、その境界線であると誰かが言っていたが、その通りかもしれない。

由里は2年付き合った彼との関係で悩んでいた。おそらく次の誕生日にプロポーズされるだろう。最近では露骨に指輪のサイズや好きなデザインを確認してくる。大好きな彼との結婚は、女性なら誰しも夢見る展開。それなのに鬱々としたこの気持ちは何だろう。

一人で考えても埒があかない。早速同期の智子と玲を招集した。

西麻布交差点外苑西通りを一本折れたところにひっそりたたずむ一軒家の創作和食フレンチ『サルドゥマキノ』は2014年9月にオープンしたばかり。メニューは、全7品の7,800円の店主のおまかせコースのみ。

一軒家で木のぬくもりを感じる店内と、1枚板のカウンターから臨むオープンキッチン、少し急な階段を上がると2階には木のしつらえが温かな個室もあり、まるでどこかの別荘に遊びに来たようなプライベート感だ。

恵比寿にオフォスを構える由里の会社の20代の女性社員達は『ビストロ間』を女子会の定番に使っていたが、おそらく30前後の姉世代の女性にとっては、今後新定番になるだろう。

智子は、しみじみと言った。

「何かの曲の中に、あの頃の未来に僕らは立っているってフレーズがあったね。結婚なんて、ずっと先って思っていたけど。由里が不安なのは、未来に追いついてしまう不安なんじゃないかな。」

確かにそうかもしれない。(正直もっといい男と結婚すると思っていた)

彼の経済力は、同世代の並の並。「誠実そう」と評価の彼だが、「顔に秀でるとこなし」と同義であることも心得ている。しかし、2年間という歳月の中で培ってきた彼への信頼は何物にも変えられない。

心中を察したのか、玲は安らかな微笑でまるで姉のような母のような表情で言った。

「大丈夫だよ。彼なら由里を幸せにできる」

マキノの料理も終盤、炊き込みごはんが運ばれてきた。フレンチなのにお新香と赤出汁も付いてくる。近江牛のパフェや、大根と鱧のお椀、サーモンと茸のグラタンと、和洋入り交じるコース展開は、奇想天外で予測はもはや不可能だった。

考えていた「未来」の先を予想したところで、きっと意味はない。だったら、マキノの料理のように、でてきた勝負でそれなりに楽しめばいい。そう思うと何だか肩の力がふっと抜けていくのを感じた。

あの頃の未来の先へ行く覚悟が決まった夜に私たちは笑って乾杯した。


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