A2:価値観がまともで、きちんとしている女性は希少だから。
順調に交際に進んだ僕たちだったけれど、その後も驚かされることばかりだった。
まず、亜紀は自分軸がしっかりしている。
「亜紀ちゃん、来週末は何してる?」
「来週末だと…土曜は空けているよ!日曜は、友達と約束しちゃって」
「そっか。じゃあ土曜は会おうよ」
平日は仕事が忙しいので、基本的に週末に会うことが多かった僕たち。普通、週末にしか会えないとなると、恋人優先になりそうな気がする。
しかし亜紀は100%僕に合わせるのではなく、自分のペースを保っていた。そこが、とても良かった。
「土曜なんだけど、見たい映画があるから、映画に行ってからのご飯は?この前インスタで見て、気になっていたお店があるの!流星、ベトナム料理って食べられる?」
「パクチー抜きだったら…(笑)」
「そうだ、ごめんパクチー苦手だったね。じゃあもう一個別の気になっているお店へ行こう!そこは絶対、パクチー出てこないから」
さらに良いのが、亜紀は自分から色々と提案してくれる、“能動的”な女性だったことだ。
これが、意外にいそうでいない。
基本的にみんな、いつ会えるかわからない僕のためにスケジュールを全部空けたり。デートの提案も、基本的に相手任せ。
行きたいお店や行きたい場所は相手次第という、“受動的”な女性がかなり多い(それなのに、こちらが提案した店を「チープ」とかバッサリ切り捨ててくる人もいる…)。
そんななか、亜紀は自分の意見をしっかり持っている。必然的に、そういう女性と一緒にいると刺激になるし、シンプルに楽しい。
「亜紀ちゃんといると、楽だな〜。やりたいことが似ているというか、変に気を使わなくていいというか…」
「わかる!流星といると楽なんだよね。楽しいし」
これが、すべてだった。
そして僕の中で、結婚を決める決定打となった出来事があった。
それは、ある週末のこと。ネットで頼んだ物が玄関前に積み重なっていたのだが、それを見た亜紀の一言に、僕は感銘を受けた。
「これ、どうしたの?」
「色々と買っちゃって」
「また?流星、何も考えずにポチりすぎだよ」
― 僕のお金だし、亜紀には関係ない。
最初は、そう思った。
「頑張って働いてるし、これくらい良くない?」
しかしこの次の発言で、僕はさらに亜紀を見直すことになる。
「それはそうだけど…。もちろん、流星が頑張って働いているのは知っているけれど、必要のない物が増えていくのは、どうなんだろう。お金は湯水のように湧いてくるものでもないんだし。ちゃんと考えて使ったほうがいいのかなって私は思うよ」
「わかってるよ」
これまで付き合った彼女は、僕に気を使って何も言ってこないことが多かった。特にお金周りに関しては、「人のお金だ」と思って、奢られるのが当たり前で、1円すら払おうとしない女性たちもたくさん見てきた。
しかし亜紀は、金銭感覚もちゃんとしているし、何より、価値観や生活水準など、すべてが“まとも”な女性だった。
さらにケンカをしても、すぐに仲直りができる僕たち。
「今日の夜ご飯、何にしようか」
「とりあえず買い物行く?この前払ってくれたから、今日は私が払うよ」
「ありがとう」
奢ってもらうことばかり考えず、ちゃんとギブ&テイクができて、金銭感覚がまともで、しっかりしている女性はこの東京では意外に少ない。
みんな、最初は頑張る。でも実際に交際が始まると甘えることも多く、男性に精神的にも金銭的にも依存してくる女性は多い。
その点、亜紀はそういった心配が一切なく、これから一生信頼できるなと思った。
だから僕は早々に、結婚を決めた。
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