A1:アプローチは完璧だった。だからこそ、逆に怖かった。
翔太と出会ったのは、2対2の食事会だった。彼は最初から私に積極的に話しかけてきてくれた。
「由真ちゃんって、すごく美人さんだよね。モテるでしょ?」
「ありがとうございます。どうなんですかね」
「由真ちゃん、顔も綺麗だけど雰囲気も美しいというか…姿勢も綺麗だよね」
「本当に?嬉しいです。最近ピラティスに行っているからかな」
「そうなんだ。だからか〜。うん、本当に綺麗」
しかも相当な褒め上手。適度な距離感を保ちつつも、ぐいっと核心には迫ってくる。
その絶妙な距離の詰め方に、「この人はきっとモテるんだろうな」と私はすぐに察した。
そして翌日、すぐに翔太からLINEが来た。
― 翔太:昨日楽しかった!由真ちゃんの話もっと聞きたかったな。
― 由真:私も楽しかったです!
― 翔太:次は二人でご飯行かない?
初デートまでの流れも完璧だったけれど、デート中のアプローチも本当に上手だった。
初回は、表参道のフレンチだった。お店選びのセンスもあって、デートはもちろん楽しい。会話もスムーズ…。一見すべてが完璧だった。でも、逆に完璧すぎてどこか引っ掛かる。
「これまでどんな人と付き合ってたの?」
こんな会話をしている最中、私が感じていた違和感の片鱗が見えた気がした。
「どんな人…。みんな綺麗な人たちばかりだよ。でも、なんやかんやで続かなくて」
「なんで続かなかったの?」
「束縛とか嫉妬が激しくて。“私だけを見て”的な重い女性が苦手なんだよね」
何だろう。その言葉を聞いた瞬間、私に向けられたものではないのになぜか胸がざわついた。
元カノ達のことをどんな風に言うかで、意外に男性の本当の人柄は見えてくる。
「由真ちゃんって本当にいいよね。美人だし話しやすいし…」
「ありがとう。翔太さんも。こんなかっこいいのに、いい人だよね」
「そうかな。ありがとう」
ただ、今日もとても褒めてくれるしとても優しい翔太。いい人な上に条件もいい。
だから私は、しばらくデートを続けることにした。






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