A2:急に積極的で、びっくりして引いた。
二度目のデートは、美咲が選んでくれた南青山のフレンチになった。なぜここの店になったかというと、三日前になっても店の提示をしない僕に対して、美咲が店を出してきてくれたからだ。
「お店、選んでもらっちゃってすみません。僕が押さえるべきだったんですけど…」
「いえいえ。そこは、手が空いている方がやりましょう」
「さすが美咲さん、かっこいいな」
「ううん。雄大くん、忙しいかなと思って」
「ありがとう、助かりました」
正直、店を考えるのは大変なので、店を積極的に選んでくれるのは嬉しいし、助かる。でもそこはデートの醍醐味というか、少しこちらに任せて欲しい部分でもある。
― これって…もともとこの店に来たかったら、僕をデートに誘った?いや、さすがにそれはないか。
今日の美咲は質問をたくさんしてくれたので、僕も誠実に答えていく。ただ、実家の話になった時のことだった。
僕の実家は、京都で代々呉服店を営んでいる。すると、想像通り美咲の顔がパァッと晴れた。
「え…雄大くん、すごくない?」
「いや、まったく。普通だよ」
たぶん彼女は、無意識のうちに僕の身元を確認していたのだと思う。
でもこれも、彼女が悪いわけじゃない。
35歳で、本気で結婚相手を探しているなら、当然のチェックだろう。
そして、美咲の気遣いから、きっと京都の話で盛り上げようと思ってくれたんだと思う。でも、次の言葉に、僕は「この子、住んでいる世界が違うかも」と思ってしまった。
「うん。ご飯を食べに行くことが多いかな」
― 京都の、どの店へ行くんだ?
京都の良い店は、予約困難店が多い。それに、高級店も多い。東京からの新幹線往復代に、宿泊費。それに加えて飲食費…。
「そっか…美味しいご飯屋さん、たくさんあるからなぁ」
そう答えながらも、お金がかかる女性であることは、明白だなと悟った。
そして、このデートの帰り道の出来事が、僕の中で決定打となった。
色々と話した帰り道。なぜか一緒のタクシーで帰ることになった僕たち。すると、彼女の家が近くになった途端に、急に美咲が、そっと手を重ねてきた。
正直、突然のことで驚いてしまった。けれども、女性の手を振り払うのは失礼だろう。だから僕は、美咲が降りるまでそっとそのままにしていた。
「雄大くん、今日もありがとう。またすぐにね」
「うん。またね。お休み」
美咲は、とても美人だし性格もいいと思う。でも、積極的すぎる女性は本命にはなりにくいと思う。
もちろん、大人の恋愛である以上、当然のステップなのかもしれない。二度もデートして、付き合うか付き合わないかをはっきりさせるのは、年齢的にも合理的だ。
でも、美咲はちょっと急ぎ過ぎているようにも見える。
そして何より、美咲の求める東京の“当たり前”レベルがわからなくて怖い。
美咲は素晴らしい女性だし、成功している。だから自信もあって当然だし、この東京で過ごしてきた時間や経験が、彼女をさらに輝かせているのも知っている。
ただ、その経験と気が利きすぎる点が逆に男を遠ざけている。
手慣れ感と、知識が邪魔をしている。
彼女のせっかくの魅力が、結婚を考える年齢の男にとっては、少しマイナス要因に働いてしまっている気がして、“もったいないな”と思った。
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結婚目前で揺れる女、その本音とは





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何を言ってるの、ライターさんw