Q2:男が5度目のデートで動いた理由は?
しかし、慶がわからないのは、それ以降もデートに誘ってくることだ。4回目のデートも、慶から誘ってきた。
― このデートの、意味は何?
お誘いのLINEを見ながら、私は思わず心の中でそう叫ぶ。
しかしもちろん、慶に惹かれている自分もいる。
― これは…まさかの、私からプッシュするパターン?
そんなことを考えるが、実際に慶に会うとアプローチできない自分がいる。この日も二人で食事をし、今日は珍しく2軒目へ行くことになったので、思いきって手でも繋ごうかと思った。
でも、やっぱり何もできない。
「このワイン、美味しいですね」
そんな、どうでも良い言葉ばかりが出てくる。
カウンターの下で急に彼の手を握ったりしてみたいけれど、残念ながら、そんな勇気はない。
そんなことをあれこれ考えているのを悟られないように、私は目の前にある赤ワインのグラスを静かに回す。
すると、慶はいつもの感じで、穏やかな口調で微笑む。
「真由ちゃん、赤ワイン派だもんね」
「そうなんです。慶さんも、ですよね?」
「そうそう」
「お家でも飲むんですか?」
「いや、一人では飲まないかな。家に誰か来たりしたら飲むけど」
― 家に誰か呼ぶ…?それは、どういうこと?誰か女性ってこと?
頭の中でグルグルと質問が回る。でも、これも何も言えない。
「へ〜そうなんだ。慶さんのことだから、オシャレなお家なんでしょうね」
「いや、めっちゃシンプルだよ。物がほとんどないし」
ここで、慶から「良ければ、うち来る?」とか言ってくれれば、喜んで行く。まだ付き合ってはいないけれど、今日でもう4度目のデートだ。
そろそろいいタイミングのはず…。
でも真面目なのか、私に興味がないのか、彼からお誘いの言葉はまったく出てこない。
「そうなんだ」
なるべく平静を装って答えてみるけれど、色々考えすぎて頭が沸騰しそうだ。
「真由ちゃんは?お家はどんな感じなの?」
「私はお恥ずかしながら実家なので…」
「麹町だっけ?」
「そうなんです。そろそろひとり暮らしをしないと、とは思っているんですが」
私の会社は赤坂見附にあるため、実家を出る理由がない。そこに甘えて、結局私はずっと実家にいる。
「まあいいんじゃない?それに、真由ちゃんは頑張って働いているワケだし。これで何も働いていなかったらアレかもだけど…。でも、ご両親厳しそうだね」
「いや、全然ですよ」
「でも大事に育てられたんだろうな、というのが伝わってくるよ。真由ちゃんは、どんな相手となら結婚できそうなの?」
唐突だな、と思いながらも正直に答える。
「嘘をつかない人と、対等でいられる関係、ですかね。あと、一緒にいて楽でいられる人」
「楽、というのは?」
「背伸びしなくていい感じ、とでもいうか。自分が自分でいられる、みたいな」
「なるほど。わかるような、わからないような…」
「どちらかが無理をする関係は嫌だなと思います」
慶はその答えを聞いて、少し笑った。何を考えていたのかは、わからなかった。
そして5回目のデートは、六本木のイタリアンだった。仕事帰りに落ち合い、ワインを飲みながら会話をしていた。
しかし食事が終わる頃、慶が静かに口を開いた。
「真由ちゃん、僕たち付き合わない?真剣に将来を見据えて」
思っていなかった言葉ではなかった。でも、いざ面と向かってそう言われると、心の準備が追いつかない。
「はい…」
そう答えたものの、慶は私のどこを見て、そう決めたのだろう。それに、そもそもいつから私のことを「いい」と思ってくれていたのだろうか。
結局その答えがわからないまま、交際はスタートした。
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男が5度目のデートまで動かなかった理由は?








この記事へのコメント
3回デートして何もなかったらそれは“何もない” 鉄則って😂