Q1:5回もデートをしたのに、彼がそれまで何も動かなかった理由は?
慶との出会いは、大学時代の先輩の紹介がキッカケだった。
29歳になり、私は結婚に少し焦り始めていた。そんな私を見兼ねて、先輩が「僕らと同じ大学出身なんだけど、面白い独身の弁護士がいるから、一度会ってみなよ」と出会いの機会を作ってくれた。
そして先輩と慶の三人で、金曜の22時から、『apéro. wine bar aoyama』で落ち合うことになった。
「初めまして」
想像以上に慶はガタイが良くて、驚いた。失礼ながら、弁護士さんと聞いていたので、勝手に細身の男性を想像していたから。
「あの…何か、運動されていたんですか?めちゃくちゃ体格良いですよね」
そう聞くと、慶は急に目を輝かせた。
「え?わかりますか?最近、運動頑張っていて」
「そうなんですね」
意外だった。見た目こそ隙のない雰囲気だったが、会話は思った以上に自然だったし、可愛げもある。しかも仕事の話をしていると、こちらの話を遮らずにきちんと聞いてくれる。
「IT系の営業って、何をするんですか?」
「色々とあるんですけど…」
こうして、すっかり打ち解けたこの夜、私は慶と連絡先を交換した。そして、翌日には、もうLINEが来ていた。
― 慶:昨日はありがとうございました。良かったらまたご飯でも。
「さすが、早い」
そう思ったけれど、悪い気はしない。
1回目のデートのあとも、順調に進み、2回目のデートは神楽坂の鉄板焼き屋さん、3回目は代官山を散歩した後にフレンチへ行った。
「じゃあ慶さんは、いつか独立されるんですか?」
「うん。やっぱりいつかは自分の事務所を作りたくて」
「すごいですね!応援します」
「ありがとう。そう言ってもらえると、心強いよ」
会うたびに話が深まっていく感じがして、私も少しずつ彼のことが気になり始めていた。
ただ一つ引っかかっていたのは、彼のペースだ。
この、3度目のデートの帰り道、今日もあっさりと、地下鉄の入り口で解散しようとしている慶。
「じゃあ、僕はここで。真由ちゃん、本当に電車で帰るの?気をつけて帰ってね」
「え?は、はい…」
デートの鉄則を、彼は知らないのだろうか。3度目のデートまでに何もなかったら、それは“何もない”ということだ。
― え?私に興味ないの?
毎回地下鉄の入り口まで見送ってくれる。でも一度も、彼から「送って行こうか?」と言われたことはない。
それに、いまだに距離感もある。一緒にご飯を食べても恋愛の話にならないし、彼の家は、今まさに私たちがいる代官山なのに、「家に来る?」とも言わない。
― これは、この先進まないパターンか…。
そう思い、がっくりと肩を落とす。
実家のある駅まで電車に揺られながら、私は投げたボールをスルーされた気がして、どこかモヤモヤした気持ちを抱えていた。








この記事へのコメント
3回デートして何もなかったらそれは“何もない” 鉄則って😂