A1:連絡さえすれば、“何をしてもいい”と思っているフシがある。
陸と出会ったのは、結婚式の二次会だった。披露宴の時は席が離れていたので特に会話もなかったけれど、二次会で、新郎新婦の親しい友人たちだけで飲みに行った際。私たちの距離はグッと近づいた。
「今度、二人でご飯へ行きませんか?」
陸が誘ってきてくれ、そのあとの行動も早かった。
二人でご飯へ行った初デートの帰り道に、陸は告白をしてきてくれた。
「付き合ってください。ちゃんと、結婚を前提として」
彼は、広告代理店勤務の29歳。私は当時28歳で、“30歳になる前に、どうしても結婚がしたい!”という思いが強かった。
だからお互い結婚を意識したうえで、私たちの交際は始まった。
でも交際当初から、私はずっと引っかかっていたことがあった。それは、陸の“オトモダチ”の定義だ。
例えば、金曜の夜に陸から連絡が入る。
― 陸:友達から連絡があって。なんか落ち込んでいるらしいから、ちょっと飲みに行ってきていい?
そもそも、今夜は陸と会う約束をしていない。金曜だし、飲みに行きたい気持ちもわかる。
だから私なりに、最大限に気を使ったLINEを彼に送った。
― 美咲:そうなんだ。それは行ってきてあげて!もし早めに終わったら教えて。たぶん家にいると思うから。お友達、陸に会って元気になるといいね。
― 陸:美咲は優しいね。わかった!ありがとう。あと、早めに解散したらすぐ連絡します。
ただこの日、結局陸からLINEが入っていたのは深夜1時頃だった。
一緒に住んでいるわけでもないし、私がとやかく言う筋合いはない。むしろこの日は「楽しかったんだね」くらいで終わっていた。
でもこの翌日。陸の家で、私がご飯を作っている時のことだった。
「昨日、楽しかった?」
「うん。結局、2軒目から他のメンバーも来て、カラオケとか行って盛り上がっちゃったよ」
「そうだったんだ。お友達は?大丈夫だったの?」
「うん。花音、帰る時にはすっかり元気そうだったよ」
― ……ん?カノン?
思わず、料理をしている手が止まる。
「え?女子と飲んでたの?」
「あれ?言ってなかった?」
色々とツッコミどころはあるけれど、一旦深呼吸をしてみる。
「そうなんだ…最初は二人で飲んでいたってこと?」
「うん、でも花音なんてほぼ男友達みたいなものだし。美咲が心配するようなことは何もないから、安心してね」
そういうことなのだろうか?
ただ連絡は、ちゃんとしてくれた。それに“心配するようなこと”が起こっていないことに関しては、嘘はついていないと思う。
でも、交際相手がいるのに、異性と二人きりで飲みに行く…。この価値観が、私には理解できない。
「それより美咲は?昨日は何してたの?」
「結局家にいたよ〜」
結局このままはぐらかされて終わってしまったけれど、男女が二人で飲む…ということは、どういう意味だろう。
独身の男女がただ一緒に飲むだけだから、もちろん罪ではない。
でも逆の立場からすると、私は陸と付き合ってから、異性の友達と二人で飲みに行くようなことはしていない。
陸が嫌がるかな、と思っているから。
― これって、私が幼いのかな…?
でもこれ以外のことに関しては、陸はとても良い彼氏だった。優しいし、一緒にいて楽しいし、連絡もマメ。
だから私は少し大人になり、「何もない」という陸の言葉を、信じることにした。







この記事へのコメント
美しくない響きだし、肺の「奥底」と「深い」はほぼ同じニュアンスで表現力の未熟さが透けて見える。