◆これまでのあらすじ
別れた元彼・豪のことが忘れられない市子は、20時以降は全く食べないダイエットをしていた。
けれど、ときにはひとりで、ときには友人の双葉や早紀と共に深夜の美食を楽しむうちに勇気をもらい、もう一度ヨリを戻したいと豪に伝えて…?
▶前回:デート帰り、タクシーの中で「まだ帰りたくない」と23歳女が伝えたら…
Vol.16 <市子:テイクアウトのサバサンド>
この前まであれだけ大混雑していた中目黒も、桜がすっかり散ってしまえば通常運転だ。
日曜お昼の山手通りにはのんびりとした時間が流れていて、春の風が心地よい。
夕方から学生さん向け就活メディアのイベント運営の仕事があるため、私もジャケットを着用していたけれど、4月末のうららかな陽気の中ではほんのり汗ばんでしまいそうなくらいだった。
「いけない。家から歩いてみたら、思ったより時間かかっちゃった」
スマホで時刻を確認した私は、小走りになって山手通りから目黒川サイドに一本入った路地へと進む。
Googleマップを頼りに目指すのは、隠れ家的なベーカリー&パティスリーだ。
看板は出しておらず、完全紹介制。2階のカフェスペースではベーカリーに陳列されている様々な種類のパンはもちろん、ガレットやフレンチトースト、ラザニアやパスタなんかも食べられるらしい。
小走りしたおかげでどうにか約束の12時半には間に合ったものの、予約の名前を告げて2階に案内されると、そこにはすでに窓際のテーブルについている2人の姿があった。
店内中に立ち込める幸せな小麦の香りの中、私は手を振りながら近寄る。
「ごめん、お待たせ!早紀ちゃん、双葉ちゃん」






この記事へのコメント
以前はボリードやらバーキン出してきた東カレで…