Q1:女が一度目のデート以降、自分から連絡しなかった理由は?
綾乃をマッチングアプリで見つけたのは、アプリ内の“人気ランキング”の欄だった。
顔が可愛いのはもちろんのこと、写真で見る限りスタイルも良い。27歳、都内で音楽関係の仕事をしており、趣味は旅行とカフェ巡り。でも体を動かすことも好き…と、プロフィールも強い。
「めっちゃ可愛いな、この子」
そう思ったものの、相手は相当な強者だ。けれども思い切っていいねを押すと共に、挨拶のメッセージを送ると、数日後に返信が来た。
― 綾乃:返事が遅くなってしまってごめんなさい!イギリスに住まれていたんですか?
僕の方は今年32歳で、都内の大手総合商社勤めで、去年まで仕事でイギリスにいたので、プロフィール欄にそれを書いていた。そこを突っ込んできてくれた綾乃は、僕のプロフィールも読んでくれた、ということだろう。
― 優太:そうなんです。昨年帰国したばかりです。
しかしここから、何度かやり取りをしたものの、実際に会う約束まではできずにいた。ここで、僕は素朴な疑問が湧いてきた。
― マッチした後、みんなどれくらいのスピード感を持って実際に会うんだろう?
僕のようになかなか会わないと、チャンスを見過ごすかもしれない。それに綾乃はだいぶモテる。悠長に構えている暇はない。
そこで、マッチして1ヶ月後。僕はようやく、綾乃をデートに誘うことにした。
― 優太:良ければ、実際に会いませんか?お茶とかランチとか軽くでどうでしょうか。
すると綾乃もOKしてくれて、僕たちはまずはランチをすることになった。
「初めまして」
待ち合わせ場所のカフェにやって来た綾乃は写真の通り可愛くて、僕は思わず襟を正す。
「初めまして、優太です」
「綾乃です。優太さん、ようやくお会いできましたね」
そう言って、ニコッと笑った綾乃がまた可愛くて、僕は久しぶりにドキドキしてしまった。
「よく言われると思いますが…。綾乃さん、実物も可愛いですね」
「そんなそんな。嬉しいです。ありがとうございます」
日中だと、その人の人柄がよく表れると思う。綾乃は写真で見た感じ、(失礼だが)男性からチヤホヤされて、少しワガママな感じかな?と思っていた。
しかし実際に会うとそんなことはまったくなく。むしろ想像とは真逆で、とても腰が低くて優しそうな人だった。
「綾乃さんは、音大卒なんですか?すごいですね」
「全然ですよ。ただピアノが好きだっただけで…プロになる夢は、諦めちゃいましたが」
「一度でも、プロを目指そうとしたことだけでもすごいです!僕、楽器はまったくダメで」
「学生時代は、何かされていたんですか?」
「僕はずっとサッカーをしていました。それこそ、一応ユースには所属していたのですが、大学進学と同時に諦めました」
「え〜!それもすごいじゃないですか。私は逆に、運動がまったくダメで…」
お互い自慢するわけでもないのに、たくさん話の引き出しがあって、会話がポンポンと弾む。
それに綾乃が発している柔らかな雰囲気と、カフェの窓から差し込んでいる温かな日差しがマッチしているせいだろうか。僕は、不思議と幸せな気持ちになった。
「綾乃さんって、素敵ですよね」
「ありがとうございます。優太さんもです」
「いえいえ。またお会いできますか?」
「はい、もちろんです」
そう言ったものの、綾乃から二度目のデートの誘いが来るわけでもなく、具体的な日程が決まるわけでもなく…。ただお礼を言い合って、デートは終わってしまった。
― あれ?ダメだったかな。
そう思い、少し肩を落としながら僕は帰路についた。








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