A1:お金に対してシビアすぎた。
真一とは、友人の紹介で出会った。
「めちゃくちゃイケメンとかではないけど、将来有望で、いい人だよ!」
友人の説明通り、正直、顔はカッコいいとは言えないかもしれない。でも、男らしくてまっすぐな真一に、私は強く惹かれたし、真一も私のことを好きになってくれた。
「実はさ。将来、家業を継ぐために横浜へ帰らないといけないかもしれなくて。もしそうなっても、綾は付いて来てくれる?」
告白と同時に、こんなことを言ってきた真一。将来を真剣に考えていてくれることが嬉しくて、私は強くうなずいた。
「もちろん!私は、どこでもついていくよ」
「ありがとう、綾」
こうして、晴れて交際することになった私たち。真一は、人材派遣の会社を経営していたのだけれど、当時は、独立したばかりだったこともあり仕事の話もよくしてくれていた。
「最近、事業の調子が良くて。社員も一気に増えるし、投資してもらえる額もいい感じなんだよね」
「そうなんだ!すごいね」
事業も、順調そうだ。
「来年は売り上げが倍になりそうだし…2年後には、年商10億超えはいけると思うんだよね」
「そうなの?すごくない?」
27歳で独身の私からすると、パーフェクトな相手だったと思う。お金持ちで、優しくて、経営者で…。
ただし一つだけ、心配なことがあった。
それは、真一が意外にもお金に対してシビアなことだった。
例えばデートへ行った時のこと。素敵なレストランを予約してくれていた真一に、私は素直に感謝の意を述べた。
「こんな素敵な所に連れてきてくれるなんて…ありがとう!」
「喜んでくれてよかった」
この時の私は、恥ずかしながら真一のご馳走になれるものだと思っていた。でもお会計の際に、真一は伝票を見て、何か考えている。
「どうしようかな。4万8千円だから…綾、端数分だけもらってもいい?」
「え?」
正直、驚いた。でも総額に比べて、私の割合は微々たるもの。それに、多めに支払ってもらっていることに変わりはない。
「もちろん」
そう言いながら支払ったものの、どこかスッキリしない気持ちが残る。ただ、お金持ちの方々と結婚した諸先輩の話を聞いていると、「結婚前の割り勘は、進んで支払え」と聞く。
だから私も、内心とは裏腹に、笑顔で応じた。
「むしろ、多めに支払ってくれてありがとう」
それに私も、ちゃんと仕事をしている。だからこれは問題ないこと。ただ、これと同時にもう一つだけ不安が残った。
― もしかして、事業が上手くいってないのかな…?
でも、本人は「経営はとても順調」と言っている。だから私はそれを信じるしかないし、疑う理由もない。
「綾といると、楽だな。金銭面で、ノーストレスだし」
「前までの子は違ったの?」
「うん。当然のように支払いを僕に回してくる子ばかりだったから。でもさ、それって平等じゃないよね」
こう言われると、何も言えない。だからこの先も、たまに出てくる割り勘にも耐えていた。それに結婚すれば、少しは変わると期待も抱いていた。
それよりも、実はもう一つ、結婚前からとても気になっていたことがあった。ただそれが、結婚したら顕著に出てしまった気がする。
今から考えると、「どうしてあの小さな違和感を無視してしまったのか」と後悔しかない…。








この記事へのコメント
😆言わないから
例; 恥ずかしながら真一のご馳走になれるものだと思っていた。