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ニューヨーク恋愛物語~商社マン遥斗の場合~ Vol.7

「結局、日本人がいい…」ニューヨークに住んでいても、あえて日本のアプリで出会う理由とは

「やだ、そんなことで悩んでんの?デーティング期間なんて最高じゃない。何人ともお試しで付き合ったっていいんだから、私なんて年がら年中デーティング期間よ。アメリカ式のルールの方が好きだって人も多いけどね」

「いや、でも僕は同時進行って好きじゃないんですよね。付き合う人は結婚を考えられる人がいいんで」

遥斗の答えに、ギャル姐は「やだ〜、かわいー、タイプ〜」とからかう。


すると側で聞いていた20代前半の女性が話に入ってきた。

「え、莉乃さんといい感じなんですか?」

「いや、いい感じかどうかは…。それより、莉乃さんのこと知っているの?」

「もちろん、たまにですけど前はここに顔を出していましたよ。でもそれなら、もうここに住む日本人とは、しばらく付き合えないですね」

茶目っ気のある笑顔をする彼女に、遥斗は「え?」と返す。

「だって、一度日本人コミュニティでそういうことがあると、噂はすぐに流れますよ。人数が多いようで、村社会なので。まあでも、その分知り合いもたくさんできるので、ネットワーク作りにはいいんですけどね。

だから最近は、日本人と付き合いたいからって、こっちで日本のアプリを使ってる人も多いですよ?」

「そうなんだ…」

正直、遥斗は今日いい出会いでもあれば、などと淡い期待をしていた。けれど彼女に釘を刺され、確かにそうかもな、と自制する。

その夜、遥斗は昔使ったことのある日本のアプリを再インストールし、登録し直した。

― まあ、こっちで出逢えるなんて期待はしていないけど…。

そう思いながらも、少しだけワクワクして眠りについた。



それから数日。再登録したマッチングアプリの通知は鳴り止まず、ついには通知音を消した。

昔もやったことがあるが、ニューヨークに住んでいる、というステータスが加わったおかげか、前よりも「いいね」の数が跳ね上がった。

日本にいた頃は自分もモテていたことを思い出し、ズタズタに崩れたプライドがまた少し積み上がる。

そこで一人、自分の好みの女性を見つけた。

明里、26歳。日本の航空会社のCA。

一瞬香澄を思い出したが、彼女とは会社も違うし大丈夫だろうと、明里とメッセージのやりとりをしてみる。

すると、ちょうど来週ニューヨークに来るというので、会うことにした。

「はじめまして、明里です」

明里は、白のノースリーブブラウスに淡いグリーンのスカートを合わせ、上品で華やかな装いだった。

柔らかいボブカットの髪が揺れるたび、明るく社交的な空気がふわりと広がる。

楽しく食事をしていると、何気なく彼女が言った。


「今度、学生時代の先輩の結婚式に出るんですけど、それがすっごい豪華なんです。お相手の方が起業家らしくて、八芳園で400人は来るって言ってたかな。有名人も来るみたいで、何を着て行ったらいいんだろうって悩んでます。香澄さん…その先輩、昔から一見控えめな感じなんですけど、よくモテる人で…」

「え、香澄ちゃん?あのCAの?」

思わず声が漏れる。

「え、そうです。香澄さん、大学の先輩で。遥斗さんも知り合いですか?」

明里は偶然を喜ぶように無邪気に聞いた。

この記事へのコメント

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No Name
結婚を考えて付き合える人を探してるんだっけ?笑 なら莉乃違うよね。考え方とか合わなそうだし駐在終わって日本に帰国又は別の地に変わっても莉乃と続けて結婚するとかほぼ無理。
2025/12/17 06:1413
No Name
元カノよく連絡してこれるなぁ図々しい、会ってやる必要ない と普通の連載なら思うけどこの話は遥斗がことごとく上手くいかないから面白い...故に婚約の報告とかそんな感じ?!
2025/12/17 05:1312
No Name
デーティングも、「付き合う前のお試し」なのに真剣に付き合うつもりは皆無…ただhangoutしてるだけな人もいる。一方、デーティング期間に複数人と同時進行せず一人に集中して深い関係を築けるようにする男女もいる。特に保守的なクリスチャンとか。
どちらか(相手を)見極めるのが難しいんだけど、莉乃は前者だと予想、止めといたほうがいい。
2025/12/17 06:299Comment Icon1
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ニューヨーク恋愛物語~商社マン遥斗の場合~

ニューヨーク。
眠らない街で、スマホを片手に恋を探す男がいた。

日本でも海外でも主流となったマッチングアプリはもちろん、最近流行っている「リアル」な出会いイベントにも顔を出す。

成瀬遥斗、28歳。総合商社勤務6年目。ニューヨーク駐在中。

その肩書もあって、マッチングアプリを開けば、メッセージは山のように届く。
しかし、出会いは星の数ほどあるが、本当に心を許せる“誰か”には、なかなか出会えない。

成功や出会いが次々と生まれるニューヨークで、遥斗の恋人探しの旅が始まる。

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