A1:生活費の割合問題。最初は7:3でも良かった。
鉄二は、元々ただの男友達だった。それがいつの間にか男女の関係になり、恋人として交際が始まった。
友達だった期間が長かったせいか、交際した時点でお互い結婚は意識していたと思う。
そして交際してしばらく経った頃、ちょうど鉄二の家の更新のタイミングが来たので、何となく私は同棲を持ちかけた。
「せっかくだから、一緒に住む?家賃ももったいないし。実は同じマンション内で、もう少し広い部屋が空いたんだよね」
この時、私たちはお互いに結婚すると思っていた。だから私は「早めに一緒に暮らすのも悪くないな」くらいで考えていた。
「そうなの?じゃあそっちに、一緒に引っ越す?」
「うん。名義は私になるけどいい?」
「もちろん。僕はなんでも」
私の年収は1,000万で、鉄二の年収は650万くらい。だから名義は私の方が審査も通りやすかったし、何より私は鉄二より4歳年上だ。だから生活費や家賃、全体的に7対3の割合で支払う、ということで落ち着いた。
最初は、私もそれで納得していた。自分の方が年上だし稼いでいるし、仕方ない。それに鉄二は家事もしてくれる。
そう思っていた。
ただ実際に生活してみると、色々と問題が出てくるのが同棲というもの。1LDKの家でお互いリモートになると、どちらかが譲らなければならない。
「祥子、俺明日10時からリモートで」
「そうなの?私もなんだけど」
「じゃあどっちかが家出ないとか…」
「わかった、私が出るよ」
「本当に?いつもありがとう」
こういう状況になった時、たいてい家を出るのは私の方だった。
― まぁ仕方ないか。
そう思っていた。そして最初のうちは、家事をしてくれていた鉄二。
「てっちゃん、いつもご飯作ってくれてありがとう」
「ううん。でも洗い物は頼んでいい?」
「もちろんです!」
ご飯を作ってくれるから、洗い物は私。それも納得がいく。しかしもちろん毎日鉄二が作るわけではない。私がご飯を作る日もある。それでも、洗い物は私の仕事だった。
納得いかないこともあったが、そんなモヤモヤを吹き飛ばすくらい、鉄二といると楽しかった。
「祥子、次の日曜、気になっていたレストランに行きたいんだけど」
「いいよ。なんていうお店?」
「駅の近くにある店なんだけど…」
鉄二も私も食べることが好きなので、レストランの新規開拓をするのが好きだった。レストラン開拓だけでなく、週末になると鉄二と二人で晩酌をするのもとても好きな時間だ。
「今週もお疲れさまでした」
「乾杯!」
ゆっくりと料理をつまみながら、お酒を楽しむ…。最高の時間だった。
しかし段々と、鉄二の態度が変わってきた。でもこれは、そうさせてしまった私にも責任があると思う。
この記事へのコメント
この男、今回の同棲で相当貯金出来ただろうね。