A2:シンプルに、下品だなと思った。
お店の方に対して服装のマナーがなっていない女性を連れてきてしまって、品位を落としてしまって申し訳ないなと最初から思っていた。
しかし食事が進むにつれて、その思いはさらに強くなっていく。
「陽平さんって、今本当に彼女とかいなんですよね?」
「いないよ。芽衣ちゃんは?」
「私もですよ〜」
一旦服装のことは置いておき、僕はとりあえずデートと食事を楽しむことにした。だから会話も、楽しくしていた。
「芽衣ちゃん、誰かいそうなのにね」
「そんなことないですよ〜。男友達は多いんですけどね」
しかし男友達の話になった時、芽衣は急に、大人数で写っている、誕生日会の写真を僕に見せてくれた。
そしてその写真を見ると、男性が10人くらい写っている。みんな“THE港区”という感じで、若干のギラギラさが写真からも伝わってきた。
「なんかキラキラしてるね〜」
「そうですか?むしろ男女の垣根を越えてただの友達なので、本当に何もないんですけどね」
「男側はどうなんだろう。絶対に何人かは、芽衣ちゃんのこと狙っていそうな気もするけどな(笑)」
男友達が多すぎる女性を、僕は基本的に信用していない。
「男女の友情は成り立つのか」というのは永遠のテーマだと思うけれど、男友達が多い女性よりも、少ない女性のほうがいい。
そう思っていると、スープが運ばれてきた。
「美味しそう!」
「やっぱりここの店は格別だよね」
「本当ですね」
そして、この時だった。
芽衣が残ったスープを飲み干すべく、スープ皿を両手で持ち上げ、そのまま口をつけて啜っている。
僕はその様子を見て、心底ドン引きしてしまった。
― 嘘だろ…?
なんて下品で、マナーがなっていないのだろうか。それだけではない。
次の肉料理が運ばれてくると、次は洋服にソースを飛ばした芽衣。
百歩譲って、うっかり落としてしまったとしよう。人間だから落とすこともある。
「やっだ…最悪。ごめんなさい」
そう言って、僕の方を向いてきたので慌ててお店の人を呼ぶ。
「僕は全然大丈夫なんだけど、むしろ大丈夫?洋服、汚れちゃった?」
「こちらは大丈夫です」
そう言って、色々試してみてはいたものの、結局シミが落ちずに放置してまた食事を始めた芽衣を見て、僕は色々考えた。
― この子って…。
「もう1軒どうですか?」
会計を済まして外へ出ると、芽衣から誘ってきたのでとりあえず2軒目に行くことにした。
ただ、もうこの時点で次はないことはわかっていた。
可愛いけれど、なんだか全体的にだらしがない。
TPOに応じた服装ができていないこと。マナーがなっていないこと。そしてよくわからない男友達が多いこと…。
全体的に、品位を感じられない。
ただ遊ぶだけだったら良いかもしれないけれど、僕の年齢的に、そろそろ結婚を考えている。そうなると、芽衣ではない。知的で上品で、中身がある人がいい。
だから僕は、このデートで早々と芽衣と連絡を取るのをやめた。
▶【Q】はこちら:「顔は可愛いのに…」2回目のデートに誘われない30歳女。彼女が犯している食事中の失態とは
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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同棲中の彼氏に対して女が見切った理由は?
この記事へのコメント
はなまるうどんでつゆを飲み干すようにスープ飲んだんだ。さすが小動物! 芽衣、高級店が大好きとか言ってたが今までどれだけ恥を晒してきたんだか...