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TOUGH COOKIES Vol.31

「まさか彼女が!?」彼氏の元カノが気になり、会ってみたら知っている人で思わず…

SUMI

「あの役はどうしても欲しかったから…受かってからも必死だったんです。完成してからも、全てがうまくできたとはとても思えなかったんですけど…」

「私は素晴らしいと思ったわ。それにいくつかの映画祭で、助演賞をもらってたわよね」

「地方の映画祭の、ですけど」

「大きな賞は、利権も絡む。全てだとは言わないけれど、出来レースも多いでしょう?だから、地方の評価こそ信じられるのじゃないかと私は思うわ」

静かに、けれど凛とした口調でよどみなく言いきったキョウコに、このパーティーには、その“利権”に絡んだ人達が多くいるのではないかと、ともみの方が心配になり、周囲を見渡す。

― やっぱり…門倉先生って、作品だけじゃなくて、人としてもかっこいいんだな。

キョウコに見惚れていたともみに、大輝が拗ねたような顔で言った。


「キョウコさんの作品は全部見てるけど、あの役がともみだったなんて。オレ、気づいてなかったな」

「公開されてからもう10年以上が経つし、大輝くんが見たのも、随分前でしょう?出演シーンが多い役でもないわけだし、私も今とだいぶ印象が違うから仕方ないよ」

そもそもつい最近まで、私の過去なんて興味なかったからじゃない?という本音はぶつけず、心で思う。

— あなたの女性の趣味が、とびきり良いってことがわかっただけでも…うれしいよ。今日来て良かった。

感謝のような気持ちで大輝に微笑み、キョウコに視線を戻すと問いかけられた。

「ともみさんは、今も芸能のお仕事を?」
「いえ、もう…やめてから随分経ちますね」

そう、と微笑んだキョウコが、なぜ?とか、もったいないわね、とか、それ以上を追求しないことにも、ともみはさらに好感を持った。

おそらく170cmを超える身長、ショートカットにブラウンのパンツスーツ。“女”を強調するアイテムを装備せずとも、知性に裏打ちされた色気が漂い、きっと“良質な男性”からモテる人だ。

― 強敵には間違いないけど、なんか燃えてきたかも。

憧れの人が恋のライバルになった不思議。そのライバルが言った。

「ともみさん、もしよければ、これから2人きりで話しませんか?」
「キョウコさんひどい。それって、今日はもう、オレは用無しってこと?」

苦笑いの大輝に、「どうしたい?」と聞かれ、ともみは迷うことなく、「是非!」と答えていた。

この記事へのコメント

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No Name
規格外の魅力♡にあふれているのもまた大輝なんだよね。 修羅場とは真逆の和やかな感じでともみとキョウコが対面出来たのも良かったし、またどんどん過去が明らかになっていくようで楽しみ。
2025/09/23 05:3514
No Name
額にキスも、大輝だとめちゃくちゃ絵になるんだろうなと。そしてキョウコの前でも自然とキスする辺り、大輝はもうとみもしか見ておらずキョウコの事は思い出に変わったんだろうなと。
2025/09/23 05:5014
No Name
白シャツの挿入画像多いなぁ、大輝とは似ても似つかない上下白の男性は誰のイメージ? 
2025/09/23 05:288
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TOUGH COOKIES

SUMI

港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。

女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが

その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。

心が壊れてしまいそうな夜。
踏み出す勇気が欲しい夜。

そんな夜には、ぜひ
BAR TOUGH COOKIESへ。

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