Q2:女が三度目のデートで“なし”と思った理由は?
そして二度目のデートも同じように楽しく盛り上がり、気がつけば三度目のデートとなった。
過去二回とも、美香は最高だった。
話も合うし、ちょっとミステリアスで陰のある感じも好きだった。美香の喋りすぎず、でも静かすぎるわけでもない…その塩梅がとてもよく、居心地も良い。
そして二回とも2軒目まで行き、かなり遅くなっても美香はずっと楽しそうにしてくれていた。
― いよいよかな…。
そんなことを思いながら、三度目のデートに挑む。今日は三茶にある僕の行きつけの創作和食の店を押さえた。行きつけなので店主も知っているし、大切な人しか連れて行きたくない店だ。
だから店へ来た美香を、真っ先に店主に紹介する。
「こちら、美香さんです。こちら、店主の大輔さん」
「どうも、いらっしゃい」
挨拶をし終えたところでビールを頼み、僕たちのいつも通りの楽しいデートが始まる。
しかししばらくして、同じく店の常連で、顔見知りの橋本さんがやってきた。
「あれ?達也じゃん。何やってんの」
「いや、見てわかるでしょ(笑)デートですよ」
「へーいいなぁ」
同じように橋本さんにも美香を紹介し、そこから僕はしばらくグラスを持ちながら、立ち話で、橋本さんと盛り上がっていた。
「達也さん、本当に常連なんだね」
その様子を見て、美香が僕を見上げている。
「ごめんね、ほったらかしにして。ここの常連たち、みんな仲良くて」
「そうなんだ。楽しそうで何より」
結局橋本さんのウザ絡みに耐え、美香の元へ戻ると美香はスマホをいじっていた。邪魔しては悪いと思ったので、僕もスマホを開いてみる。すると、ちょうど今ハマっているゲームがいい感じに盛り上がっており、しばらく隣でログインしていた。
しかししばらくすると、僕のグラスが空になっていることに気がついてくれた美香。
「あ…達也さん、飲み物がないみたいなんだけど、何飲む?」
「あぁ、じゃあビールで。ありがと」
「達也さん、ゲーム終わった?」
「今ちょうど良い感じ。美香ちゃんは?終わった?」
「私は終わるも何も、ただ達也さんを待っていただけだから」
「そっかそっか」
キリの良いところでゲームを終わらせ、僕は美香と向き合う。
「で、なんだっけ?」
「何が?」
「何の話をしていた?僕たち」
「んー…特に何も?」
「そっか。じゃあいっか」
こうしてこの日は、少し静かに食事をした。けれども別に僕はベラベラと話さなくても良いと思っている。
こうやって、沈黙も楽しめる人がいい。
その点、美香は無駄に話さなくても良いのが楽だった。
「達也さんって、意外に静かなんだね」
「無駄に話すのが嫌いで。だからこうやって、静かに食事ができるの、助かる」
「そうなんだ」
こうして、この日僕たちはしっぽりと飲みながら食事を楽しんだ。そして店を出て、飲み足りない僕は、当然のように美香を2軒目へ誘う。
「飲み足りないから、もう1軒行こうよ」
もちろん、付いてきてくれると思った。しかし首を横に振り、さっさとどこかへ行ってしまった美香。
― あの時、他の誰かと連絡取り合っていたとか…?
そんなモヤモヤを抱えつつ、結局この日以来、美香とは会えていない。三回もデートし、ほぼ交際確実だったはずなのに、どうしてこうなってしまったのだろうか…。
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女が三度目のデートで男を見切ったワケ
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