A1:一緒にいるのが“当たり前”になってしまった。
梨花とはマッチングアプリで出会ったのだが、元カノのさゆりと出会ったのは、共通の知人の紹介だった。
さゆりに出会ったのはもう5年も前のことになる。
綺麗な子で、当時はWebデザイナーの駆け出しだったさゆり。仕事も一生懸命頑張っていて、素敵な子だった。
出会ってからすぐに意気投合し、自然な流れで交際をすることになった僕たち。順調に進んで1年後、さゆりのマンションの更新が近づいてきたタイミングで、一緒に住むことになった。
同棲開始後も僕たちの関係は変わらず、一緒にご飯を作ったり、近所へふらっと飲みに行ったり。そんな毎日が、楽しかった。
ちなみに家賃などの割合は、広告代理店勤めの僕が8割。そして彼女が2割。この割合もすぐに決まったし、僕が多く払っている分、さゆりは積極的に家のことをしてくれて助かっていた。
「湊、いつも多めに出してくれてありがとう」
「当然だよ。むしろ少しでも出そうとしてくれて、ありがとう」
お互いがお互いを尊重しており、プライベートも仕事もちゃんと頑張っている。一緒にいても気も使わず、楽だった。
とても、バランスの良い二人だったと思う。
しかし同棲とは、無常に時を蝕んでいくもの。
気がついた時には同棲を開始してもう3年が経っており、さゆりは33歳になった。
そんなさゆりの誕生日を、中目黒のイタリアンでお祝いをしている時のこと。事前に店の人に頼んでいたケーキが出てきたタイミングで、さゆりは何か言いたそうにしている。
気のせいかと思っていると、家に帰っても、ずっと何か言いたげだ。
「あのさ、湊…」
「ん?どうした?」
「いや、何でもない。今日はありがとう」
何となく、さゆりが言いたいことはわかっている。たぶん「この先のこと考えているの?」とか「私たち、いつかは結婚するの?」とかだろう。
僕はダイレクトに聞かれるのが嫌で、申し訳ないけれど、早々に寝ることにした。
「うん、おめでとう。明日朝早いから、俺もう寝るね」
「え?」
戸惑っているさゆりを横目に、僕はさっさとお風呂へ入り布団を頭から被る。もちろん、すぐに寝れるはずはなく、「本当に今後、どうしようかな…」と考えていた。
さゆりのことは好きだし、一緒にいるのが当たり前になっている。
だからこそ、わざわざ“結婚”という形にする理由もない気がしていた。
この記事へのコメント
当時は結婚願望がなく一生独身でいいかなとさえ思っていた? ならせめて同棲を始める前にさゆり打ち明けて話しあう必要はあったと思う。 で、最後さゆりと同棲のタイミングで結婚をしてたらきっと違ったんだろうな… はぁあ????