返信がすぐもらえるのは嬉しい。それに菜々は、SNSマーケティングという仕事柄、スピーディーな返信を心がけているのかもしれない。
しかしこちらが「返信まだかな」などモヤモヤする隙は1mmもないし、考える間もないくらいにすぐに返事が来る。
むしろ早過ぎて、色気がない。
そして段々、圧も強くなってきた。
僕が、菜々が投稿していたレストランのストーリーに対して「美味しそう!」と反応すると、「いつ行く?」と菜々からすぐに返事が来た。
― これって、勘違いさせているのかな…。
そう思ったものの、菜々も僕に対して同じように、LINEの暇つぶしの相手かライトな関係と捉えているのかもしれない。
菜々からは何度も「いつ行く?」と来たので断りづらくもなり、僕はもう一度、食事へ行くことにした。
「お店、ここで良かった?」
「もちろん。俺より菜々のほうがグルメ偏差値高いから、助かる」
言葉通りの意味だった。といっても、本命の彼女が相手だったら、僕も必死に店を探すだろう。
「菜々って、返信のスピード早いよね。そんな無理して返さなくてもいいからね?仕事もあるだろうし、俺の送る内容、しょうもないものも多いし」
「うん。無理はしてないよ。私、アイコンの上に数字が溜まっているのが許せなくて。すぐに返したいんだよね」
「菜々は仕事ができますね〜」
「いえいえ、義樹さんほどでは」
菜々は仕事が相当できるのだろう。それゆえ、返事も早いしこうやって店の手配もテキパキできる。
それは人として素晴らしいことだけれど、曖昧な関係の時に、スピード感を持って挑まれると圧が感じて身構えてしまう。
この日、菜々は僕と先に進める気満々だったようで、店を出ても「帰りたくない」オーラを発している。2軒目まで行ったのに、まだ一緒に飲みたそうにしている。
「菜々、もう1軒行く?」
そう聞いてみると、かなり食い気味に来た菜々。
「うん!行く!!」
こうして3軒目に来ても、まだ帰る気配がない。結局深夜に解散となったけれど、この時の僕の気持ちは“もうお腹いっぱい”だった。
◆
LINEのラリーが続くとか、インスタのDMのやり取りがあるとか、ストーリーに反応するとか。
正直なところ、これらの事実に対して男性はそこまで深く考えてはいないと思う。
もちろん、まったく興味のない女性に対してはそんなことはしない。
ただちょっと時間がある時に、最近ちょっと気になっている女性にちょっかいをかけるくらいの感覚だろう。
特にLINEのラリーが続くかどうかは重要ではない。会った時に話せば良いし、むしろ会った時の話のネタにしたいことも多い。
既読スルーは論外だし相手にされていないけれど、女性のほうからガツガツ連絡が来ると、引いてしまう。進むはずだったチャンスも、潰すことになると思う。
― 相当がっついてるな…。もう少し、ゆっくり進めたかったんだけどな。
そう思いながら、僕は酔いを醒ましながら夜の街を歩いて帰った。
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この記事へのコメント
僕は酔いを醒ましながら夜の街を歩いて帰った。
えーーーーどういう事?怖いよ。