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30歳になりまして Vol.13

「私何やってるんだろう…」30歳で失恋し、寂しさからつい元カレと過ごしてしまった女の混乱

横で、博俊が寝ている。

「…今何時?7時10分か…よかった」

このまま出れば、会社には間に合う。

― 昨夜は…飲みすぎた。ひとりでいる現実から逃げたくて、ここまで来ちゃった。

急いでベッドから立ち上がろうとしたとき、私の右手を、ひんやりとした大きな手が包んだ。

「菜穂?おはよう」

「あ…おはよう」


博俊の寝起きの声が響く。

「…ねえ。彼氏と別れたって本当?」

「え…話したっけ」

「なんだ、覚えてないのか。言ってたよ。話しながら、ちょっと泣いてた」

私は、着ているバスローブを手で寄せて、胸元を隠す。

「本当だよ」

「…そっか。ならさ、菜穂。俺と一緒にいようよ。今は前と違って稼ぎもあるよ。俺もはやく結婚したいしちょうどいいじゃん」

― “ちょうどいい”は言えてるかもな。何流されそうになってるんだ私…。

「ごめん、そういうのはもうやめて」

私はシャワーを浴び軽く化粧をし、シワのついたブラウスに着替える。

もう会わない。そう決めて、慌てて部屋を出た。

― なんていう朝なんだ…。

いい大人なのに、こんな適当な展開を迎えてしまった。そんな自分に、とにかくうんざりしていた。


「環境を大きく変えよう」

そう思い立ったのは、それから2ヶ月が経ったころだった。

逃げるように仕事に没頭してきたけれど、蒼人と同じ会社にい続けることに、居心地の悪さを感じてきたのだ。

出社をすれば、つい蒼人を探してしまう。

気まずくて会いたくない気持ちと、あの頃に戻りたい気持ちで、どうしても目が動いてしまう。

― この会社にいる以上、忘れられない。

それで、思い切って転職エージェントに相談。外資系のマーケティング会社に、好条件で採用してもらえることになったのだ。

新しい環境に身を置いてみて――私には、ひどく驚いたことがあった。


▶前回:半年記念日に、彼と一泊旅行。しかし、幸せな雰囲気が一変した“プレゼント”とは?

▶1話目はこちら:「時短で働く女性が正直羨ましい…」独身バリキャリ女のモヤモヤ

▶NEXT:8月6日 水曜更新予定
次回最終回。思い切って環境を変えた菜穂は、新しい局面に。

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この記事へのコメント

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No Name
バカ女過ぎて
2025/07/30 05:3626Comment Icon1
No Name
えーーーーー、転職ww
そこのくだりが極めて雑でビックリ! 新しい会社に入って独身のイケメンが多くてひどく驚いたのかな? 最終話で新しく知り合った男とトントン拍子に結婚&ハッピーエンドならレベチでつまらないけど大丈夫かな。
2025/07/30 05:3826
😂
― なんていう朝なんだ…。
2025/07/30 05:1319Comment Icon1
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30歳になりまして

「30歳」

その数字は、女性の心に妙に重くのしかかる。

「年齢なんてただの数字」と本人は思っていても、世間がそれを許してくれない。

職場では、つい最近まで若手だったはずなのに、いつのまにか中堅どころになっている。

マッチングアプリだって自動的に30歳になった途端に「いいね」が減った気がする。

気持ちは追いついていないのに、30歳という年齢の重みがが急にのしかかる。

大手IT企業のマーケティング部で、課長職を担う桜庭菜穂は、30歳になって迷いが生じ始めた…。

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