A2:紹介した時の態度が心配で、会わせたくなかったから。
交際してから、僕は菜々をほぼ誰にも紹介していなかった。なぜなら、「友達に会わせたくないな」と思っていたからだ。
菜々はお酒が入ると気が大きくなることもあり、僕の友人たちに会った時にどういう態度を取るか未知数だ。
もし万が一、変なことをされたら困る。
そう思っていたタイミングで、偶然、街で僕の会社の先輩カップルに遭遇してしまった。
しかも先輩もなぜかノリが良く、気がつけば先輩と先輩の彼女、そして僕と菜々という4人で飲むことになった。
最初から、僕はヒヤヒヤしていた。
一方の菜々はそんなことまったく気づいていないのか、先輩からの質問にもノリノリで答えている。
「菜々ちゃんは、義樹のどこが好きなの?」
「優しいところですかね。むしろ優しすぎてたまに心配になるくらい」
「最高な彼氏だね」
「そうなんですよ。でももっと男らしさもたまに欲しい時もありますけどね。家だと本当に静かですし」
― 先輩の前なんだし、少しは立ててくれてもいいのに…。
そう思っていると、菜々のいつものグイグイと…いや、いつも通り人との距離感がバグり始めた。
「まぁ義樹は、マジでいい奴だからね」
「あと周りの人にほぼ会ったことながなかったので、今日こうやって素敵な先輩に会えて嬉しいです♡」
もしこれが、僕が下げられただけならば良い。
しかし先輩の彼女がいる前で、語尾に「♡」がつくような話し方で先輩と楽しそうに話し続ける菜々を見て、どこかモヤッとしたのは僕だけではないはずだ。
先輩の彼女だって、嫌な思いをしたと思うが、大人だったので態度に出さなかっただけだろう。
もちろん菜々は、良かれと思って盛り上げてくれているのだろうが、彼女が話すたびに僕はゲンナリし、少しずつ幻滅していく。
一方で、僕は菜々の友達にも会ったことがある。
「出会いは?」
「義樹さんは、菜々のどこが好きなんですか?」
こう質問をされたとき、僕は菜々の株を落とさないよう、最大限に気を使って答えたつもりだ。
「明るくて、自分をしっかり持っているところかな」
でもこの辺りから、僕の中で少しずつ不安が芽生えていく。
交際して1年も経つと、もちろん結婚も考える。僕は結婚願望もあるし、子どもも欲しい。将来は子ども二人に奥さんを連れて海辺に住む…という夢もある。
でも僕は、菜々を親に紹介している姿がどうしても想像できなかった。
むしろ親や友人に会わせて大丈夫かな?という心配が常に付きまとっている。
― これって、結婚相手としてどうなんだろう…。
ずっと、そう思っていた。
そして交際2年目というタイミングで、急に僕の大阪転勤が決まった。
最初は戸惑ったし、一瞬、菜々を連れて行くことも考えた。
「でも菜々は東京で仕事もあるしな…」
そう自分で言いながら、ふと気がついた。僕自身言い訳を探してばかりで、菜々と結婚する気がないことに。
彼女だったらいいけれど、親や周りの人へ紹介しにくい菜々は結婚相手としてどうなのだろうか。
そして2年も経ち、転勤までしたのに結婚しないとなると、タイミングを逃してしまった感じも否めない。
それは結婚を決断できなかった僕も悪い。でも、菜々は結婚相手ではなかったのだろう。
― 菜々には、幸せになってもらいたい。
そう思い、僕は転勤後2ヶ月で別れを決めた。
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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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家デートの正解は?
この記事へのコメント
え、優しいと言ってたけどそれじゃ不満だったの?足りないの? 最高の彼氏だねの対してもそうなんですよと同意してる。たまには男らしさもみせて欲しいな的な所がお気に召さなかった? よく分からん。 酔うと口が悪くなる具体例も無いし、すごいモヤっとするアンサー記事。
でもその後も頻繁に皆で飲んだりしてたような事を菜々は言ってたっけ?忘れたけど。