Q1:男が最初に手を出してこなかった理由は?
義樹とは、当時よく飲んでいた慶太の紹介で知り合った。
実は最初、義樹のことを紹介してくれた慶太のことを「いいな」と思っていた。でも遊び人でモテる慶太は私のことなんて眼中にないのか、義樹のことを「マジでいい奴だから」と紹介してきた。
そんな経緯で紹介された義樹だけれど、慶太も交えて何度か飲むうちに、彼の人柄にどんどん惹かれていった。
「菜々ちゃん、お酒弱いの?無理して飲まなくていいよ」
例えば、飲むとすぐに顔が赤くなる私を義樹はいつも気遣ってくれる。そして回数を重ねても、彼の紳士的な態度は何も変わらなかった。
それは2人で食事へ行くようになっても、何度デートをしても変わらなかった。
「義樹くん、この後どうする?」
痺れを切らした私の方が家へ誘ってみても、義樹はまったく乗ってこない。
「明日早いし、帰ろうかな。送っていくよ」
「……家に寄って行かないの?」
「女の子が、そんなこと軽はずみに言っちゃダメだよ」
こんなふうに軽くあしらわれてしまう。だから結果として、私のほうから行動を起こした。
「義樹くん、私たち付き合わない?」
この時の義樹の驚いた顔は、きっと忘れないと思う。
「うん。それはいつか、僕のほうから言おうと思っていたけど…ごめんね、先に言わせちゃって。ありがとう」
「じゃあ、そういうことで」
「これから宜しくお願いします」
律儀で真面目な義樹とは、こんな感じで交際が始まった。
そして交際が始まってからも、とにかく義樹は優しかった。
ただ私はお酒が好きなのだけれど、義樹はお酒が弱い。だから量でいうと義樹よりも、私のほうが飲めた。
「菜々ちゃん、飲みすぎないで」
「そんな飲んでないよ。義樹は?」
「僕は今日、一滴も飲んでいないからシラフです」
「え〜飲もうよ。つまんないじゃん」
「いいの、僕は。2人で酔っ払ったら、収拾つかないじゃん」
「つまんないの」
飲むと毎回こんな感じだったけれど、義樹は怒ったこともないと思う。
いつも私のからみ酒にも付き合ってくれ、本当に優しかった。
そして交際して1年も経つと、必然的に結婚の話にもなる。お互いの両親のことや友人のこともよく話していたため、すぐにでも結婚する気でいた。
でもそれと同時に、気がついたことがある。彼の友達に、一度も会ったことがないことに…。
この記事へのコメント
一方、お酒飲めない男子もどうなんだろう、毎度オカンのように「飲み過ぎないで」言われたら楽しく飲めない。
菜々の友達に会わせた後「賑やかでいいね」は恐らくうるさ過ぎてウンザリしたんだと思う。 義樹はお酒一切飲めない女性と付き合えばいい。