
「人生に“当たり前”なんて、ひとつもない」Snow Man岩本照が逆境を乗り越えたいま、想うこと
今月、32歳の誕生日を迎えるSnow Manのメンバー、岩本 照さん。
約3年ぶりの再会の舞台は、青山の新たなランドマークとなった「THE AOYAMA GRAND HOTEL」。
着実にキャリアを重ね、ブレない足取りで30代を歩む男が語る、自身のこれまでとこれから。
「32歳も、デビュー5周年も僕にとっては通過点ですね」
誕生日をひと足早く祝うべく、不二家特製のケーキが運ばれた瞬間、それまで張り詰めていた空気が一瞬にして緩んだ。そして、少し照れた表情を浮かべた主役は、まるで確かめるように「32歳、ですね」とつぶやいた。
Snow Manのメンバーであり、そのリーダーを務める岩本 照さんの本誌登場は約3年ぶり。ぐっと男らしさが増し、厚みが加わった骨太の色気が漏れ伝わる。
だが当の本人は「何も変わってないですよ」と素っ気ない。では、今月迎える32歳という年齢については、どう捉えているのか。まずは率直に聞いてみた。
「おかげさまで毎日、毎年、充実して過ごせているんですが、まだまだ満足してないぞ、というのが正直なところです。
グループとしてもデビュー5周年なので、ひとつの区切りかもしれないけれど、あくまでも通過点。感覚としては、サービスエリアに寄るくらいの感じです」
「人生に“当たり前”なんて、ひとつもないんです」
いまや押しも押されもせぬアイドルグループとなったSnow Man。猛スピードで日々を駆け抜ける、当事者らしいコメントといえばそうだろう。
だが昨年末、岩本さんは“立ち止まらざるを得ない状況”に直面。鼻の中にできた良性腫瘍の手術、および回復のために約2週間、活動を停止した。
「もともと、運命には抗わないタイプなので、これはステップアップするために必要な休憩。そういうふうに頭では捉えていたんですよ。でも、ドクターから最悪のケースを聞いたら、結構食らっちゃって。
このまま復帰できなかったら……、いや、まだひとりの人間として何も成し遂げてないのに!?とか頭の中が毎日グルグルしていましたね。加えて、年末には親しかった人との別れも重なって……。
これまで当たり前だと思っていたことは、そうではないという儚さを、リアルに体感したことも大きかったです」
いままで以上に一瞬一瞬を大事に過ごすこと、やりたいことには貪欲に取り組むこと、と決意を新たに復帰。だが、しばらくは葛藤の最中にいた。
「見た目にはわからないぶん、周りから見たら完全復帰と思うじゃないですか。でも、動いていい=100%で動いてOKではなかったり……。
60%でいいかな?って、相談したい気持ちと、それが甘えになって逆に心配かけてしまうんだったら、言わない方がいいのかな……とか。元々口数が多いタイプではないので、メンバーにも詳細までは説明してなかったんです。
でも、みんなが何も言わなくても労わってくれているのは、とても感じていて。年明けからかな、少しずつプライベートでごはんに行ったメンバーらには、心情を打ち明けました」
きっと後から振り返ったとき、今回の出来事はひとつのターニングポイントになるのだろう。それでも本人いわく、人生最大の転機は「小学1年生でダンスを始めたこと」に変わりはない。
「そうでなければいま、僕はここにいないですから。小学3年生の頃に、“将来はこれを仕事にしていくんだ”って決めたことはハッキリ覚えています。それで当時の事務所に履歴書を送って、僕の人生が始まったんです」
だが何度応募しても返信がない。それでもあきらめずに送り続け、やっとチャンスが巡ってきたと思えば、オーディション翌日には横浜アリーナに立っていた。
そんなドラマティックなストーリーを聞くと、岩本さんは自分で運命を動かす人。そう確信しそうになるのだが……。
「たまたま、だと思います。いろんな巡り合わせがあって、という感じですよ。
CDデビューもそう。するまでが長かったから、大変だったよね?と思われがちですけど、道は目の前にひとつだけでしたから。もちろん、悔しい思いをすることもあったけれど、自分にとってはシンプルでした。
でもそうだな、デビューできたことも、今年5周年を迎えることも、自分より応援してくれるファン、スタッフ、家族や友達が喜んでいる姿を見るのは、純粋に嬉しいですけどね」
岩本さんにはもうひとつ、ターニングポイントだったと語る出来事がある。それは初めてエンターテインメントに目覚めた瞬間だ。
「2015年の滝沢歌舞伎で、シンガポール公演に行かせてもらったことがあって。その時に初めて僕らが主演の舞台があったんですね。
オリジナル曲を振付師さんとイチから作り上げて、すごく気合も入っていたけれど、海外ですから完全なアウェイ。グループのことも、ましてや自分の名前さえ知らない海外のお客さんたちを前にやるわけです。
正直、本当に緊張しました。でもいざ本番、純粋にパフォーマンスに喜んでくれている。その姿を見たら、こっちが感動してしまった。
有名無名関係なく、国境なしに沸かせられる。エンターテインメントにはそんな力があるんだと。あの瞬間は忘れられませんね」
以来、ダンスや歌のスキルを上げ、観客を感動させるパフォーマンスをすること。それは岩本さんの軸となり、今も変わらずブレることはない。
「ブレないでいようと、意識しているわけではないんです。きっと自分の周りにいる人たちが変わらないでいてくれるおかげだと思います」
プライベートのほとんどは芸能界以外、それも年上の友人と「郊外で遊ぶことが常」と話す。よくよく聞けば、岩本さんの仲間の多くは東カレが今号で取り上げるテーマのひとつ“45歳”の人が多いのだとか。
彼らを間近で見ている岩本さんにとって、その年齢はどう映っているのだろうか。
「彼らは父親であり、兄貴であり、ライバルであり、親友。多彩な表情がすごく魅力的ですよね。きっと、いろんな経験を重ねてきたからなんでしょうね。
生き方、考え方、遊び方、仕事との向き合い方、人付き合いに至るまで、彼らに学ぶことはとても多いです。“本気で遊びができないヤツは、何をやってもできないよ”、なんて言葉がさらりと出てきてドキッとしたこともありますし(笑)。
だから自分が45歳になる時は、彼らのように強くなっていたいですね」
そうなるために、いまの自分に足りない要素は?
「いっぱいあると思いますけど、美味しいごはん屋さんとか美味しいお酒が飲める店とか……いま、そういう知識は少な過ぎる気がしますね」
「誰かに影響を与えられる大きな背中が理想かな……」
得意ジャンルはトレーニングやサウナに加え、キャンプや登山などのアウトドアな世界。
3年前のインタビューでも「港区の夜より“ととのう夜”です」と話していたのが印象的だったが、いまもそれは変わらないという。
「東京の魅力は、世界中からたくさんの人が集まってきて刺激的なところにあると思います。なんといっても便利だし。
ただ、僕は携帯のタップひとつで気軽になんでもオーダーできる世界に、ある意味ついていけないんですよ。東京で心から落ち着けるのは、昔ながらのレトロな喫茶店くらいですから(苦笑)」
ちなみに、本誌のグラビアページの舞台となった『SHIKAKU』は、アラウンド32歳がデートするのにぴったりのロケーション。岩本さんの“東京のリアル”とはまったく異なる世界観である。
では、もし岩本さんが東京で女性とふたりで食事をすることになったなら、どうしますか?
「さっきお話ししたアラウンド45歳の先輩方にリサーチして、事前にひとりで訪れてロケハンすると思います」
そう大真面目な顔でつぶやいた。そして、「港区を俺が語れるのは来世じゃないですか。いや、来世でも無理かもな」と苦笑した。
それもそのはず。夜は本を読んで自然に眠りにつき、朝は瞑想する時間をとって自分と向き合うのが最近のルーティンだという。
「理想は夜8時台に寝て、起床は朝5時〜6時。あとは、朝と夜はできるだけ携帯を触らないようにしていますね。それが僕には合っているようで、メンタル的にも落ち着くんです。
毎日が安定していると、凹む日や落ち込む日があっても、それは曇りや雨の日があるのと同じで騒ぐことじゃないと、いつからか思えるようになりましたしね」
もはや、人生何周目!?と問いたくなるような発言である。
では、32歳、45歳のさらに上、52歳の時の岩本さんは、どうなっていると想像しているのだろうか?
「中身はきっと変わらないと思うけれど、誰かに何か影響を与えられる存在になれていたいですね。ダンスでもなんでもいいんですけど。
僕の中でパッと浮かぶ50代って、やっぱりSASUKEの山田勝己さんなんです。山田さんは今年で60歳ですけど、いまだにキレッキレ。その背中が僕らに与える影響はやっぱり大きいですから」
岩本さんの理想は、多くを語らなくても漢気にあふれた男。それもどうやら“男気”より“漢気”と書くようだ。
最後に、今年の誕生日当日の予定を聞いてみた。
「まったくの未定です(笑)。グループのメンバーとは誕生日プレゼントを贈り合うのが恒例ですが、今年は何をリクエストしようか、それもまったく浮かばなくて。
ヘッドホン、ライダースときて、去年はキャンプで使える冷温庫をもらったけれど、32歳はなんだろう……。出てこないのは、満たされている証拠かもしれないですね」
ブレることなく我が道を行く。それが岩本さんの“漢道”だ。
■プロフィール
岩本 照 1993年生まれ、埼玉県出身。13歳で芸能界の門を叩き、2012年からSnow Manのメンバーとして活動。2017年には夢だった『SASUKE』に初出場。今年、CDデビュー5周年を迎え、グループ初のスタジアムライブが開催予定。
▶このほか:「メンバー全員で行くなら、あの焼肉店しかない!」Aぇ! group正門良規の東京・ご褒美メシ
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