初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由(3/3)[東京カレンダー

LINEをブロックして、電話番号も消したけれど、そうか、Facebookはつながったままだった。結海は、見慣れたその名前をじっと見つめる。

「いやいや…」

向き合う余裕がない結海は、Messengerを閉じてLINEを開く。22時すぎに、母親から連絡が来ていた。

『お母さん：今計算してたら、売上が年末あたりから低迷してます。また研哉くんに、集客について相談できないかしら？』

母親は彼の助けを求めている。彼が、たった今、自分とまた恋人に戻りたいと言っている。

寿人と付き合いたいけれど、自信がなくなったこのタイミングで。

― なんてタイミングなの。これが、私の運命なのかな。

タクシーが止まり、信号の赤がやけにまぶしく目に入ってきた。見慣れた景色だ。もう用賀は近い。

― 結局自分は、研哉から逃げられないのかもしれない。

そう考えたとき、ハッキリと、自分の人生が暗くなるのを感じた。

― …嫌だ。一緒にいたい相手じゃないもの。

結海は、眉間にシワを寄せながら母親にLINEメッセージを打つ。

『結海：お母さんごめん。この前、研哉と別れたの。お父さんもきっとガッカリするよね。でも、許して』

「運命」なんて、そんな言葉で物事をあきらめたり、決めつけたりはしない。結海は心を立て直す。

― もういい大人なんだから、私、しっかりしないと。

未来は、自分でデザインしていくのだ。だから――。

結海は、寿人とのトーク画面を開く。

『結海：今日は変なこと言って、ごめんなさい。また会いたいです。好きなんです』

信号が青になり、タクシーが滑り出す。

「お客さん、もう着きますよ」

運転手の優しい声が、結海の心を落ち着けてくれた。

《寿人SIDE》

結海が、帰ってしまった。

ソファの上でスマホを片手に固まっていると、結海から、LINEが入った。

「変なことを言ってごめんなさい…か。そんなことないのに」

結海が続けて綴ってくれた「また会いたい」「好きです」の文字に、はっきりとした安堵を覚える。

寿人はソファから身を起こすと、とりあえずシャワーを浴びようと洗面所に向かった。

ドアを開けたら、すぐに目が入るところに、華の化粧品が鎮座している。

― ああ、これか。そういえば、置くって言われたっけ？

寿人の中に、もどかしさやじれったさが込み上げる。

― 結海さんに、信じてほしいって思ってるのに…。

でも、ちゃんと言葉にしてこなかったのは自分のほうだと寿人は思う。

いい大人になったのに、いやだからこそ、気持ちを言葉にするのが怖かった。

結海のほうが恋愛に慣れているのだからと、どこかで受け身になっていたのも事実だ。

「いい加減にしないと」

寿人は、最近何度も頭をよぎっていた“あるアクション”に出ることにした。

▶前回：「今夜は帰りたくない」と2回目のデートの帰り、28歳女に言われた男。どう対応するのが正解？

▶1話目はこちら：「自然に会話が弾むのがいい」冬のキャンプ場で意外な出会いが…

▶NEXT：3月26日水曜更新予定
臆病ながらに歩み寄る2人。寿人が決めたアクションとは？

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No Name

娘もアホだけど母親も似たようなレベルですね。年末頃から売り上げが低迷してるのに今日気付いた？結海もちょくちょくレジ締め手伝ってたのに知らなかった？何も対策とか考えず研哉に頼んでどうにかしてもらおうとか思ってる所もドン引きです。もう11話だけどいつまでダラダラ続けるんでしょうか。

2025/03/19 05:1823返信1件

No Name

本当にこの女、何がしたいん？イラつくなぁ。初めての食事デートでまだお互いの事を何も知らないような状況で「今夜は帰りたくない」とか言うから悪いんだよ！

2025/03/19 05:1219

No Name

このパン屋、そのうち潰れるだろうね。先日までは過去最高の売り上げを更新し続けているとかでかいこと言っておきながら、ちゃんと計算したら年末頃から売り上げ低迷してたのかよ。いい加減だなぁ。。集客力を上げるためには何が必要か、そしてターゲット顧客のニーズや競合店の分析、トレンドを取り入れつつ差別化戦略などなど結海の親も結海も全く考えようとしてない。　母はまた神様(研哉)に相談したら無料で何とかしてくれ...続きを見るると思ってる？図々しいにも程があるし他力本願過ぎ。バカバカしいww

2025/03/19 06:1212返信1件

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